【佐藤ブゾン貴子さん】衣装デザイナーとして更なる高みを目指し渡ったパリで挫折、「相貌心理学」「夫」との運命的な出会い
衣装デザイナーとしてキャリアを積み、ファッションの本場・パリへ留学するも予想外の展開に
大学卒業後は下着メーカーに就職しますが1年ほどで退職。その後、アパレルメーカー、テレビ向けの貸衣装会社勤務、ストリップの衣装制作などを経て、ショーパブを経営する会社のデザイン部門に就職。ニューハーフの衣装を作りながらフリーランスになり、個人で衣装のデザインを手がけるようになります。 29歳の時、ファッションをさらに深く学ぶためパリへの留学を決意。しかし現地に着いて、入学予定だった学校に行くと年齢制限があることが判明。さらには渡仏した時に換金したユーロ札を間違えて捨ててしまう大事件が起こり、とりあえず生計を立てるために日本食レストランでアルバイトを始めます。その頃出会ったのが、夫・エリックさんでした。 「フランス語を学ぼうとインターネットの掲示板で募集をしました。“日本語を教えますからフランス語を教えてください”と。恋人探しで声をかけてくる人もいましたが、日本語をローマ字で書いて送ってくるような一生懸命な人がいて。それがエリックだったんです。メールのやり取りも日本語とフランス語を交えたすごく丁寧な文でした。 半年ほどやり取りして実際に会ってみると、もともと中学校の国語の先生、それも特殊学級の先生だったこともあり、教えるのがとても上手で。毎回丁寧に教えてくれ、パリの歴史的建造物も案内してくれて、すごくいい人だなと思っているうちに自然と付き合うようになりました」
パリでの学びの中心が「ファッション」から「相貌心理学」へシフト
その後は、パリ市の夜間職業訓練学校で服飾を学びながら、日本での経験を活かしオーダーメイドのアトリエをオープン。ウェディングドレスや小物の製作・販売をスタートします。相貌心理学にも出会った頃で、改めてフランス語を学ぶためにパリ第三大学に入学。学びの中心が、ファッションから相貌心理学へシフトしていきますが、ファッション業界に限界を感じていたことも理由にあったと明かします。 「フランスのみならず世界のファッション業界には、体は男性、心は女性という人が多いのですが、彼らはとにかくパワフルでクリエイティブに溢れています。男性と女性2つの性を持っているため発想力も素晴らしくデザインも複雑で魅力的。内面の衝突がクリエイティブに還元され、より素晴らしいものを生み出しているように感じました。 どの世界もそうですが、その世界でトップを目指すには人生を切り売りしないといけない。何かを犠牲にするのが普通なんです。驚いたのが“空は青くちゃだめ。それじゃクリエイティブなものは生み出せない”と言われたことです。私にはたどり着けない世界だと感じました」