「心臓病は遺伝する?」 自覚症状のない“心臓病”について【循環器内科医に聞く】
心臓病は親から子に遺伝する可能性がある? 家族・親族に心臓病の人がいたら検査に行くべき?
編集部: 心臓病は遺伝するのですか? 山本先生:: 例えば遺伝性の不整脈や心筋症というのもあるにはありますが稀です。しかし、虚血性心疾患のリスク因子となる高血圧や糖尿病、肥満などには遺伝的要因がありますので、結果的にご家族や親族が虚血性心疾患の人は似たような状態になりやすいと言えるかもしれません。 編集部: どんな症状が出るのですか? 山本先生:: 胸痛や、胸が圧迫されるような苦しさ、動悸や呼吸苦、手足のむくみなどが出ることもありますが、なかには症状がほとんどないものもあります。 編集部: 家族や親族に心臓病の人がいた場合、検査に行ったほうが良いでしょうか? 山本先生:: 直接遺伝する心臓病は稀ですが、「家族歴」と言って、家族が心臓病であることはリスク因子のひとつになり得ます。もちろん、先ほど「心臓病になりやすい人」で解説した環境因子などもあります。例えば「家族が心筋梗塞と診断された」だけで、必ずしも受診する必要はないかもしれません。ですが、家族歴のある方はちょっとした動悸や息切れなどでも、様子見をせず早めに受診・検査をしておくと安心だと思います。 編集部: ほかに「こんな時には受診したほうが良い」というケースはありますか? 山本先生:: 先ほどの症状のある人はもちろんのこと、健康診断などで高血圧や血糖値異常、睡眠時無呼吸症候群や脂質異常症などを指摘された人などは速やかに受診することをお勧めします。特に「睡眠時無呼吸症候群」は、正式に診断を受けていない潜在的な患者さんがかなりいると言われています。肥満の人や熟睡感が得られない人などは、一度「睡眠時無呼吸症候群」の検査をしてみましょう。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 山本先生:: 遺伝する心臓病はごくわずかですが、家族が心臓病というのは、ひとつのリスク因子ではあります。家族歴に限らず、心臓病・虚血性心疾患のリスク因子がある方や症状を自覚している人は、早めに内科や循環器内科などを受診してください。健康診断や地域健診で指摘されて精密検査を受けたことで、気づかなかった不整脈などが判明することもあるので、もし検診で「要精密検査」などの結果が出たら、放置せずに精密検査を受けましょう。