新作が多数登場! 〈ワタリウム美術館〉でSIDE COREが見せる都市への視線|青野尚子の今週末見るべきアート
ストリートをテーマの一つに活動しているSIDE CORE。彼らは都市の表層だけでなく、その下にある見えないものにも意識を向けています。〈ワタリウム美術館〉で開かれている個展『コンクリート・プラネット』は独特の構造を持つ同館の建物を縦横無尽に使ったもの。彼らが都市に向ける眼差しとは? 【フォトギャラリーを見る】 『Reborn-Art Festival』などでスケートボードや工事現場、その場に流れている音などをモチーフにしたインスタレーションを発表してきたSIDE CORE。〈ワタリウム美術館〉で開かれている「コンクリート・プラネット」では2・3・4階と3つあるフロアごとにそれぞれテーマを設けている。 観客が最初に見ることになる2階のテーマは「視点」だ。路上のマテリアルを用いて都市のサイクルをモデル化している。中でも吹き抜け部分に設置された《コンピューターとブルドーザーの為の時間》はかなりの迫力だ。鉄パイプで作られたらせん状の構造物の中を球が落ちてくる。その間、球がパイプにあたる音がするのだが、最後にパイプの下端から球が落ちてくるまでその姿は見えない。 「都市のインフラを抽象化しました。“音の彫刻”といえるかもしれません」(SIDE CORE) SIDE COREのメンバー、高須咲恵は東京・お台場の首都高速11号線台場線のループ状のジャンクションが好きなのだという。らせん状になったオブジェにはそんな背景もある。
《コンピューターとブルドーザーの為の時間》の脇にある《東京の通り》は工事現場で見かけるピクトグラムや注意書き、反射板などをコラージュした作品だ。大きな壁は回転するようになっていて、反対側の壁に車のヘッドライトを並べた《夜の息》という作品の光を反射する。
「《東京の通り》は東京の都市の景観を抽象化した作品です。工事現場でよく見る看板からピクトグラムやフォントを切り出してコラージュしました。ピクトグラムは1964年の東京オリンピックで導入され、『非常口』などは規格があってデザインが決まっています。でも工事現場のピクトグラムは標準化されていなくて、お辞儀している人や地面を掘っている人など、同じポーズでも細部が違っていることはよくある。そのズレが面白いと思った。同じ文字がさまざまなフォントで並んでいるのは、工事現場の音を連想させたいと思ったんです」