【毎日書評】「グミ」の大ブレイクからみえてきた!時代の変化とヒットの法則
コロナ禍のさなかにあたる2021年に、「グミ」がチューインガムの市場規模を上回ったのだそうです。流通ジャーナリストである『グミがわかればヒットの法則がわかる』(白鳥和生 著、プレジデント社)の著者によれば、これは飲食料品の世界で四半世紀ぶりの“大逆転劇”。 たしかに最近はコンビニの棚でガムが脇(下段)に追いやられ、「ゴールデンゾーン」と呼ばれる目線の位置にはさまざまなグミが並んでいたりもします。パッケージが色鮮やかで目立つこともあって、男女を問わず自然と手が伸びてしまうのかもしれません。 グミという食べ物は、考えれば考えるほど、その摩訶不思議さ、秘めたる“謎”に迫りたくなる。 本書はさまざまな調査データを読み解き、メーカーや卸、小売り、マーケティングリサーチ企業などの関係者への取材から、グミがなぜ、我々の日常生活に定着していったかを明らかにすることを試みた。 また、「驚き・感動」「納得感」「伝えたくなる」──という筆者なりの「ヒットの法則」に照らし合わせ、グミとは何者かを探った。そしてグミをケースに、消費者に愛されるブランドになるために企業はどうすればいいのかを考えた。(「はじめに」より) 著者は「グミとはなにか」という問いに対し、①「『幸せ感』につながる小腹満たし・気分転換」、②「『コスパやタイパ』につながる代替ニーズを満たす」、③「『楽しさ』につながるバラエティーの豊かさ」、④「『期待感』が高まる相次ぐ新商品の登場」、⑤「『つながっていることを実感』できるコミュニケーションツール」という5つの視点を導き出しています。 こうした要素は、意外性や当初に期待していた水準を上回る「驚き」、コストパフォーマンス(コスパ)やタイムパフォーマンス(タイパ)を含めた納得感へとつながるはず。そして驚きと納得感がそろえば、「人に伝えたくなる」という人間の心理に働きかけもするでしょう。 そう考えてみると、グミのポテンシャルを推しはかることができるのではないでしょうか? そこできょうは第2章「消費者の声から読み取る『グミ』とは」に焦点を当ててみたいと思います。