大統領候補指名を確実にしたハリス氏の強みと弱み:過去の言動からハリス氏の経済政策を占う
勝利の鍵を握るラストベルトの「青い壁」3州
ラストベルトに対応するミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの3州は「青い壁(青は民主党のイメージカラー)」と呼ばれる。伝統的には民主党が支配する地域であったが、2016年の大統領選挙では、トランプ氏によって切り崩された。この3州で選挙人の46人を獲得すれば、ハリス氏は当選に必要な選挙人270人(選挙人全体の538人の過半数)の獲得に近づくことができる。 そこで、ハリス氏が勝利するための条件の一つが、新たな物価高対策で白人労働者層にアピールすることだろう。 ハリス氏は上院議員時代に家賃高騰への対策に取り組んだ経験がある。その柱となったのは「家賃軽減法(Rent Relief Act)」と呼ばれる法案であり、賃貸物件の入居者で収入が10万ドル以下、収入全体の少なくとも30%を家賃・光熱費に充てる人々に税額控除を提供することを狙いとした。 こうした家賃対策などを掲げることで、ハリス氏がラストベルトの白人労働者層の支持を取り戻すことができるかどうかが、大統領選挙での勝敗を大きく左右するのではないか。 (参考資料) "Exclusive: Harris leads Trump 44% to 42% in US presidential race, Reuters/Ipsos poll finds", Reuters, July 25, 2024 "What Would a Harris Presidency Mean for the Economy? (「ハリス大統領」で米経済どう変わるか)", Wall Street Journal, July 25, 2024 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。
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