<独占インタビュー最終回>カヌー銅の羽根田が抱く東京五輪金メダル構想
カヌーの銅メダリスト、羽根田卓也(29、ミキハウス)の独占インタビューの最終回は、金メダルの期待が高まる4年後の東京五輪に向けての考えを聞いた。 ――来年から東京五輪に向けてのスタートになります。 「来年は、まず2月にオーストラリアの合宿があり、大会としては、4月の全日本選手権、9月に世界選手権がフランスであります。カヌーの世界選手権は、毎年、開催されますが、そこが次の一番の目標になります。五輪のメダルをまぐれとは言われたくありません。メダリストとしてのプレッシャーは出てくるでしょうが、取るべくして取ったと言われるような結果を次の世界選手権で見せたいと考えています」 ――それが東京五輪で金メダルを勝つための条件? 「この4年の間に世界選手権でのメダルは必要でしょう。リオ五輪では、ダークホースのポジションでした。直前のカヌーに詳しい海外のニュースサイトの下馬評では、フランスの選手が優勝候補で、次にスロバキアの選手。僕はダークホースとして紹介してもらいました。“ワールドカップでメダルを獲得した羽根田が新しい風を吹かすか?”と。その通りになったわけですが、東京五輪では、優勝の筆頭候補として紹介してもらうような成績を出すことでしょう。プレッシャーはありますが、それは強い選手の宿命です」 ――課題はどこにありますか? 「フィジカルが足りません。体重は軽くてパワーがある方いい。今は70kg弱。重くても、体重をひける力があれば問題はないんですが、そこを鍛えないと。パワー不足は、僕のハンディのひとつになっています」 ――それだけ凄い肉体をしていて? 「例えば、欧州の強豪に比べてみても、彼らはベンチプレスで120kgを平気で上げますが、僕はまだ100kg。走る心肺機能の数値でも劣っています。そこを技術と、もともと小さい頃に器械体操をしていた身のこなしでカバーしているんです」 ――どの部分をパワーアップ? 「カヌーの中で足は、正座の姿勢なので、足の筋力が強い必要はないんです。問題はバランスが取れているかどうか。バランスの競技でもあるので、上半身、下半身の筋力バランスが大切です。僕なんか、世界の強豪の比べると細い方で、海外の選手はふた回りくらい大きいです。フィジカルの差を埋めて自分の強みである技術を伸ばすことです」 ――東京に完成する人工コースは? 「今やっている途中で、これから動き出すそうです。僕の現在のコーチのミランさんが、10月に来日して、連盟が意見を聞きます。彼の意見をコース設定に大きく反映させるそうなので、技術的なコース、一番に僕のためになるコースになると思います。でも、それは、開催国として当たり前のことですよね。地の利はあります。コースの設定が大きく影響の出るスポーツです」 ――羽根田さんから要望は? 「なるべく本番まで他の国の選手に開放しないようにお願いしています。これは、どこの国でもやっていることです。テストイベントは、開く必要はあるのですが、その際も、ルールにのっとり可能な限り練習期間を短くし、他の必要じゃない大会を開かないとか、外国人選手がコースをなるべく体験できないようにすることが必要だと思います。でも、そこまでやっても金メダルを取れる保証はありませんが。 予定では葛西臨海公園に隣接した地域に1年前くらいにできるそうなので、コースが完成したら日本にいる期間は長くなると思います」