何万羽?鳥の大群が空に…正体は冬の渡り鳥のカモ 絶滅危惧2類「トモエガモ」の可能性 生態系バランス崩壊が原因か
数万羽のカモとみられる鳥の大群が冬の空に現れた。この鳥の正体は絶滅危惧2類に分類されている冬の渡り鳥「トモエガモ」とみられ、環境の変化で生態系が壊れたのが原因ではないかと専門家は指摘する。 【画像】空に巨大な絵を描くように舞う「鳥の大群」
冬の空に“鳥の大群”が出現
鳥の大群が確認されたのは、2024年12月25日の午後5時を過ぎた頃。 稲刈りが終わった田んぼが広がる佐賀市久保田町の上空に無数の鳥の群れが現れ、日暮れ前の冬の空に巨大な絵を描くように舞っていった。 実は、この場所では数日前の12月19日、黒い無数の鳥が慌ただしく空を旋回している様子が目撃され、それを撮影した動画がサガテレビに投稿されていた。 このため、その正体を調べようと専門家とともに記者とカメラマンが現地に赴き、取材を始めたその時だった。上空に“鳥の大群”が出現したのだ。 現れた鳥の大群はものすごい勢いで移動していく。
絶滅危惧2類「トモエガモ」か?
取材スタッフとともに現場に赴いたのは「日本野鳥の会」の佐賀県支部長、宮原明幸さん。 宮原さんは、その鳥の群れはカモの仲間だという。その上で、この時期にこれだけの数が群れで飛ぶのは「トモエガモ」の可能性があると指摘した。 日本野鳥の会 佐賀県支部長 宮原明幸さん: トモエガモだと思う。あれだけのボリューム。おそらく何万といますよ。カラスだったらもっと大きく見えるし、翼の動きが違う。小鳥だったらこの距離じゃ見えない。どこに餌を取りに行くのか分かりませんけど、どこかに夜出かけていって、今から餌を取るんでしょうけどね トモエガモは、10月頃から3月頃にかけて、冬の渡り鳥として日本海側の地域を中心に飛来する。繁殖地はシベリア東部といわれ、環境省は絶滅の危険が増大している種「絶滅危惧2類」に分類している。
「生態系バランス壊れてきている」
日本野鳥の会の宮原さんは、近年、佐賀県内でトモエガモを見かける機会が増えてきたという。 その原因は何なのか。宮原さんは、環境の変化により、繁殖地の範囲が南方に広がっている可能性を指摘する。 日本野鳥の会 佐賀県支部長 宮原明幸さん: (トモエガモが)増える環境が中国とロシアの国境ですからね。(詳しくは分からないが)環境の変化だと思いますよ。ただその環境の変化というのも温暖化だけじゃないと思います。人の活動が影響を与えて、(生態系の)バランスが壊れてきていると思います 冬の空に現れた“鳥の大群”は、人間による環境の変化と生態系のバランス崩壊を示しているのかもしれない。 (サガテレビ)
サガテレビ