冬の朝の冷気でうまさ引き出す「伝統的酒造り」、無形文化遺産登録で海外市場に期待
一方で、海外では日本酒が注目されている。野崎さんは「無形文化遺産登録により日本酒の認知度が世界に広まると思います。日本でも今まで手に取らなかった人に飲んでもらえるきっかけになればうれしいです」と期待を膨らませた。
■風土と結びついて発展
「どんな料理にも合うのが日本酒」と話すのは、江戸料理文化研究家の車浮代さんだ。車さんに、クリスマスや年末年始の料理に合う日本酒を聞いた。
しっかりとした味付けのローストチキン、チーズを使ったピザには、まろやかで奥深いコクや米のうまみをたっぷりと味わえる醇酒(じゅんしゅ)。小籠包(しょうろんぽう)などには、軽い口当たりの爽酒(そうしゅ)との組み合わせがおすすめという。
「日本酒造組合中央会」によると、加盟する日本酒の酒造会社は全国に約1300社あるという。数多の日本酒が、風土に合わせ、各地で受け継がれてきた。
「例えば、酒どころで知られる兵庫県にある灘エリアの酒は、地元の名水『宮水』と結びついて発展してきた。さまざまな風土とつながりがあるところに文化的価値もあるのでしょう」と、車さんは日本酒の魅力を語った。(竹中文)