スタイリッシュSUVに変貌したトヨタ「ハイラックスサーフ」3代目は221.0万円~【今日は何の日?12月1日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日12月1日は、1990年代のRVブームをけん引した「ハイラックスサーフ」の3代目が誕生した日だ。3代目は、従来のオフローダーイメージではなく、居住性や快適性を重視したスポーティかつスタイリッシュなSUVへと変貌した。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型ハイラックスサーフのすべて トヨタ・ハイラックスサーフの詳しい記事を見る ■RVブームをけん引した3代目ハイラックスサーフ 1995(平成7)年12月1日、トヨタからRVブームをけん引した「ハイラックスサーフ」の3代目がデビューした。3代目は、シャシーを一新させて居住性や快適性、走行安定性を高め、それまでのオフローダー色の強かったSUVから、より都会的な雰囲気を強めたマルチパーパスなSUVへと変貌を遂げた。 ピックアップトラックの派生車として誕生したハイラックスサーフ ハイラックスサーフのベースとなったハイラックスは、1968年に誕生した小型ピックアップトラックである。 翌1969年には米国に輸出され、ランクルのタフさを継承した小型ピックアップとして、日本以上に米国で人気を獲得した。その後もグローバルモデルとして好評を得て堅調な販売を続けた。 1980年代に入ると、日本ではアウトドアブームが起こり、トヨタは1984年に4代目ハイラックスをベースにした派生車ハイラックスサーフ(N60系)を市場に投入。ハイラックスのショートボディに脱着式のFRP製トップを被せて、さらにオーバーフェンダーや専用デカールなどを装着してRVに仕立てたのだ。 当初は商用車だったこともあり地味なデビューだったが、1986年にマイナーチェンジで5ナンバー乗用車登録のワゴンが投入されると人気が加速した。 そして1989年にハイラックスサーフは、初のモデルチェンジで2代目(N130系)に移行。乗用車志向を高めたモデルへと変貌し、三菱自動車の「パジェロ」とともにRVブームをけん引するヒットモデルへと成長したのだ。 RVを代表する人気モデルに成長した3代目(N180系) 1991年にモデルチェンジした三菱「パジェロ」の2代目は、パリダカでの大活躍もあり、爆発的な人気を獲得。パジェロに対抗してハイラックスサーフは、1995年に3代目に生まれ変わった。 3代目は、シャシーを一新させホイールベース長とトレッド幅を拡大することで居住性を改善。さらにフロントサスペンションをコイルスプリングに変更し、乗り心地と走行安定性も向上。先代モデルまでのオフローダー色の強い4WDから、より乗用車色の強いマルチパーパスなSUVへと変貌したのだ。 スタイリングは、より丸みを帯びたスタイリッシュで洗練されたモダンなデザインとなった。エンジンは、最高出力185psを発揮する3.4L V6 DOHCを主軸にし、150psの2.7L直4 DOHCと130psの3.0L直4 SOHCターボの3機種を設定。駆動方式は、センターデフ付パートタイム4WDもしくはワンタッチ操作で2WD/4WDの切り替えができるパートタイム式4WDも設定された。 標準ボディとオーバーフェンダーを備えたワイドボディが設定され、車両価格は標準ボディで221.0万円(2.7Lガソリン)、249.4万円(3.0Lディーゼルターボ)、ワイドボディは307.0万円(3.4Lガソリン)。当時の大卒初任給は19.4万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で262万円(2.7Lガソリン)、296万円(3.0Lディーゼルターボ)に相当する。 スタイリッシュに変貌し、多彩なバリエーションを用意した3代目はたちまち人気を獲得し、パジェロとともにRVブームを代表するモデルへと成長した。 4代目(N210系)が日本では最後のモデルに ハイラックスサーフは、2002年11月に4代目へと移行。基本コンポーネントを「ランドクルーザー・プラド」と共有し、ボディサイズと室内スペースを拡大させてさらなる居住性や乗り心地を重視したSUVとなった。 しかし、1990年代に日本で盛り上がったRVブームも、2000年を迎える頃にはスタイリッシュな乗用車系の都会派SUVが人気を集めるようになり、人気のハイラックスサーフは2009年に「ランドクルーザー・プラド」に吸収される形で日本での販売を終了した。 ただし、「4ランナー」として海外では5代目が販売されて変わらぬ人気を獲得、2024年にはモデルチェンジして6代目に切り替わった。 ・・・・・・・・・・ 1990年代のRVブームで人気を獲得した3代目ハイラックスサーフだが、ブームが去るとパジェロと同様人気は右肩下がりになった。どんなに魅力があっても、市場の変化にはどうにもならない。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純