名古屋で福士のリオ五輪出場を脅かすランナーは現れるのか?
前回女王で2時間21分41の自己ベストを持つキルワは別格で、他の外国人選手で2時間22分台前半を狙う選手はいない。前回、日本人選手として7年4カ月ぶりの2時間23分切りを果たした前田も欠場する。 リオ五輪代表を狙う日本人選手は、リスクを背負って、福士のタイム(2時間22分17秒)を追いかけるのではなく、日本人トップを目指して、残りの「1枠」を狙う戦略を立てていると考えていいだろう。 キャリアと現在の実力を考えると、日本人トップの“本命”は、12年ロンドン五輪代表で、13年モスクワ世界選手権4位の木崎良子(ダイハツ)だ。3年前の名古屋で大会記録(当時)となる2時間23分34秒の自己ベストをマークするも、その大会記録をキルワに塗り替えられた。 木崎とキルワは14年仁川アジア大会で対決しており、そのときは残り5キロでスパートしたキルワに敗れ、木崎は銀メダル。前回の名古屋は故障のため欠場することになり、北京世界選手権の代表を手にすることができなかった。木崎にとって今回はリターンマッチの舞台となる。因縁の相手であるキルワに勝利して、気持ちよく二大会連続となるオリンピック代表をつかみたいところだ。 木崎を追いかけるのは、2時間25~26分台の自己ベストを持つ田中智美(第一生命)、早川英里(TOTO)、加藤麻美(パナソニック)の3人だ。なかでも2年前の名古屋で2時間26分05秒の自己ベストで4位に入っている田中に注目したい。 田中は14年の横浜国際を2時間26分57秒で制した選手。北京世界選手権の代表選考レースで唯一の優勝者となったが、名古屋4位(日本人2位/2時間24分42秒)の伊藤舞(大塚製薬)、大阪国際3位(日本人トップ/2時間26分39秒)の重友梨佐(天満屋)よりも評価は下とジャッジされ、北京世界選手権の代表から漏れている。 そのときの日本陸連の回答を要約すると「勝つことよりも世界で戦う意識を見せることが大切。田中選手の優勝は評価できるが、序盤で先頭集団から遅れるなど世界と戦うには物足りない。それに比べて重友選手は、設定記録(2時間22分30秒)を目指して積極的にレースしたことが評価できる」というものだった。レース内容で涙を飲んだ田中は、今回の名古屋で雪辱を晴らすしかないだろう。