「死体と一緒に暮らしたり…」幽霊を信じない民族とは? 怪談研究家の吉田悠軌が語る
怪談研究家・吉田悠軌さんが、バリ島で目撃した怪奇現象や、印象的だった海外取材のエピソードを語った。 吉田さんが登場したのは、ゲストにさまざまな国での旅の思い出を聞く、J-WAVEで放送中の番組『ANA WORLD AIR CURRENT』(ナビゲーター:葉加瀬太郎)。オンエアは11月16日(土)。
バリ島で起きた神秘的な出来事
吉田悠軌は1980年生まれ、東京都出身。現代オカルト文化、特に怪談についての調査と研究をライフワークとし、実話怪談の語り手としてさまざまなメディアで活躍。2024年7月には、『教養としての最恐怪談 古事記からTikTokまで』(ワン・パブリッシング)を出版した。 まずは旅のエピソードとして、吉田さんがオカルトや怪談の取材で何度か訪れたバリ島の思い出について語る。 葉加瀬:僕もバリ島は大好きで一時期足しげく通っていました。 吉田:神秘的なことが好きな人が多いところではありますよね。 葉加瀬:島全体に漂う、ただならぬ空気感がありますよね。 吉田:そんななかで私はニャイ・ロロ・キドゥルという、向こうの海の女神にまつわる取材に行ったんです。バリ島のとある有名なホテルには「緑の部屋」という、基本的には誰も入れない部屋が1室残されているんですね。それは、緑が好きなニャイ・ロロ・キドゥルが、海からやってきたときにお休みしてもらうために、緑一色にした部屋なんです。そこの取材に行って、頼みこんで見せてもらったんですよ。 葉加瀬:見せていただいたとき、どんな感覚でした? 吉田:私はそこだけ空気が違うなと感じました。私自身、霊感は一切ないんですけど、信仰の場として雰囲気は違いましたね。一緒に行った通訳兼ガイドは、現地の方だったんですけど、そのわりにはあまり不思議なことを信じていなかったんですよ。「迷信ですから何も起きないですよ」と言っていたんですけど、私がお参りをしている最中に、いきなり奇声をあげて倒れちゃったんですよね。 葉加瀬:ほう! 吉田:その部屋を管理している宗教関係の女性が慌てて聖水を振りかけるといった対処をしてくれて、ようやく落ち着きました。 葉加瀬:現場でそんなことが起こっちゃったんだ! 吉田:あとから聞いてみたら、いきなり目の前が真っ白になって魂を持っていかれるような感じがあった、らしいです。 葉加瀬:それってよく聞く憑依されたって話なんですかね? 吉田:そうですね。ニャイ・ロロ・キドゥルって本当に信仰されている、しかも怖い神様なんですよね。緑の部屋ができた経緯も、海の女神の部屋を作らなければいけないって話になったのに、ホテル側が迷信を信じていなくて拒否をして。そうしたら火事になってしまったらしいんです。幸い死傷者はゼロだったそうですけども、ニャイ・ロロ・キドゥルのために開けろと言われた部屋“以外”が燃えちゃったんですよ。それで「あの話は本当だったんだ」ということになり、緑の部屋が作られたそうです。 葉加瀬:へえ! バリは非常に信仰心が強い人が多い島でもあるし、宗教と日常が密接な場所ですよね。 吉田:はい。朝起きたら神様に捧げものを捧げたりしますからね。 葉加瀬:文化的にも絵画や音楽などの芸術もすごく盛んじゃないですか。そういう匂いというか、雰囲気が濃い島だなと僕は思います。 吉田:先ほどの憑依されてわーってなっちゃうみたいな、トランス状態になる人はほかの地域と比べて非常に多いと思います。そして、それを受け入れています。 葉加瀬:それをよしとしているってことだよね。そういえば、先ほど吉田さんご自身は霊感がないとおっしゃっていましたよね? 吉田:ないです。不思議な体験をした人から話を聞きます。実話怪談というのはそういうものですね。自分が「こういう霊に会っちゃったんだよ」って話をしても、正直どっちらけじゃないですか。そうじゃなくて、そういう体験をした人に取材をして、「こういう話を聞いたので語り出します」と実話怪談をしています。霊感ある・なしに関わらず、誰でも1つは不思議な体験ってあるものなんですよ。葉加瀬さんだっておありのはずです。 葉加瀬:毎日のように変な夢を見ていますよ(笑)。