「死体と一緒に暮らしたり…」幽霊を信じない民族とは? 怪談研究家の吉田悠軌が語る
タイであえて“スペイン料理”をオススメする理由
オカルトや怪談の取材でもっとも足を運ぶ国はタイのバンコクだという。 吉田:実際タイに住んでいる日本人の知人もたくさんいて、怪談の現場取材もしたりします。 葉加瀬:いろいろ行かれているのねえ。 吉田:バンコクに一番行っていますね。 葉加瀬:バンコクって食べるものがおいしいでしょう? 吉田:屋台なんかもおいしいんですけども、私はどのお店がおいしいですかと訊かれたら、スペイン料理屋を紹介します。 葉加瀬:ほう! おいしい店があるんだ? 何がオススメ? 吉田:イカ墨のパエリアです。サワークリームの塊がどんと置かれていて、非常にカロリーは高そうですけども、それがおいしくて。いつもそこに行くと食べていますね。普通、バンコクでおいしいものに連れていくときは屋台やタイ料理だと思いますけども、あえてのスペイン料理屋です。そうすれば相手は「この人はバンコク通なんだな」と思ってくれます(笑)。 葉加瀬:そういうテクニックってあるかもね! タイでなかなかスペイン料理屋に行こうと思わないからこそだよね。 吉田:タイに長く在住している方に教えてもらいました。
怪談をまったく信じていないエリアもある
怪談の捉え方は死生観や宗教観などで大きく異なる。吉田さんいわく、インドネシアのトラジャという山岳民族は怪談を信じていないという。 吉田:基本的に台湾の方は私が話す実話怪談みたいな文化は受け入れやすいです。バリ島の方も怪談は非常に好きだし話がスッと通じます。でもインドネシアのトラジャという人たちは、基本的に死体と一緒に暮らしたりする文化があるんですね。 葉加瀬:なるほど。 吉田:数年に1回、家みたいな墓から家族の遺体を取り出して、服を着替えさせたりするんです。そういう方々は一切怪談を信じていないですね。お化けの話や不思議な体験はありますかって訊いても、「人が死んだあとに幽霊みたいな存在になるって話は小説とかにはあるけど、本当はないんだよ?」と言われるんです。 葉加瀬:おもしろいね(笑)。 吉田:子どもたちに聞いてもそういう話は一切ないと答えましたね。死生観が私たちと全然違うから、お化けになって出てくるっていう感覚がそもそもないんです。それをみんなが集まっている飲み会みたいな席で訊いたんですけど、1人だけ目をキラキラさせて話を聞いてくれるお兄さんがいて。でも、その人はトラジャではなくてジャワ島の人だったんですよ。 葉加瀬:ほう! 吉田:その人には怪談があって、村のはずれに腰から下がない女が雨の日になると出てくる、という話でした。同じインドネシアでも全然違いますね。 葉加瀬:宗教と密接に関係するのはあると思うし、長い歴史のなかで語り継がれてきたことっておもしろいですよね。 吉田:人型らしきものを見たとして、それを幽霊と解釈する・しないで不思議な体験談が生まれるかどうか変わってくるじゃないですか。アメリカ人だったらおそらく宇宙人だと思うでしょうね(笑)。まったく同じ体験をしたとしても、大事なのはその人がどういう解釈をして、それを不思議な体験として語るかどうかなんですよね。 葉加瀬太郎がお届けする『ANA WORLD AIR CURRENT』は、J-WAVEで毎週土曜19:00-20:00オンエア。