13年落ち&5万km走行の中古フェラーリに故障判明!!! 車検整備費用見積額36万円は高い?安い?(連載:33歳、フェラーリを買う)
29歳で人生初のフェラーリを購入した『GQ JAPAN』の編集部員のイナガキが、ひょんなことからまたフェラーリを購入した! はたして、2回目の“跳ね馬ライフ”はいかに? 【写真を見る】故障箇所と車検整備費用の明細はこちら!!!
車検に通りません!
車検整備のため、わがカリフォルニアをフェラーリ横浜サービスセンターに預けた。当日は、作業に時間がかかるとのことで、重量税(4万5600円)と自賠責保険25カ月(1万8160円)、検査登録費用(2300円)の合計6万6060円を支払い、店舗をあとにした。概算見積もりは各所をチェックした上で計算するという。 同サービスセンターの高橋忠久工場長からは「大きなトラブル、修理箇所がなければ数日で車検整備は完了いたします」と、言われた。もっとも13年落ち&走行距離5万kmのフェラーリである。ひと筋縄ではいかないかもしれない……嫌な予感は、現実となった。 翌日、高橋工場長から1本の電話が。 「ハイビームとウォッシャーが作動しないことが判明しました。このままだと車検に通らないので、修理が必要です。部品の入荷次第では、少し時間を要してしまうかもしれません」 訊くと、ステアリングスイッチ不良の可能性が高いという。ユニット交換の場合、10万円ほどかかる上に、調達の時間もかかる。 はたして、納車から約2カ月、かつ200km程度しか乗っていないのに壊れるものなのか……。もっと早く気がつけば良かったものの雨天時に乗らなかった上、夜間もハイビームが必要な場面に遭遇しなかったため、今日までわからなかったのだ。 もっとも、アンダーカバーを外したところ下まわりのオイルや冷却水漏れは確認出来なかったというからひと安心。重篤なトラブルはハイビーム&ウォッシャー不良というから、360モデナと較べ、フェラーリの耐久性&信頼性は随分向上したなぁ、と、しみじみ思う。 ちなみに今回の車検整備は、必要箇所だけのシンプルな内容で依頼した。金銭面に余裕があれば、あらゆる箇所を徹底的に仕上げたかったものの、それは叶わず。高橋工場長にもはっきり「維持費を抑えたく、必要最低限でお願いします!」と、伝えた。 結果、見積書の金額は36万円だった。おや? ハイビーム&ウォッシャー不良の整備費用込みならもっと高額では? と、思い、確認すると、なんと配線修理で直せることが判明! よって、整備日数も当初の予定通り5日で済んだ。「F355」を所有する俳優・夏樹陽子さんとの“フェラーリ・ランデブー”にも間に合うのでひと安心。 偏見かもしれないが、正規ディーラーに整備を依頼すると、なんでもかんでも交換、交換、交換……で、結果的に整備費用が高額になってしまうイメージがあった。しかし、フェラーリ横浜サービスセンターは違う。ユーザーの意思、思いを汲み取った上で、整備を進めてくれているように思う。ちょっと旧いフェラーリだからといって、決して手を抜かず、最善を尽くしてくれるのはありがたい。 36万円の内訳はというと、まず車検整備一式が13万5000円。これは、フェラーリ特有のアンダーカバー脱着を含むから少々高額となるのは致し方ない。次に、排気ガス点検などを含む総合検査費用が2万800円で、車検代行手数料が2万9500円。これらは、マストで発生する費用だ。 以下は、わがカリフォルニアの修理、整備に伴い発生する費用だ。 ひとつは内装の左Aピラー部分の“浮き”だ。左右で比べると、左のみパーツが浮き上がっているのだ。運転中、視界に入ることが多いため気になって仕方なかった。そこで、修正を依頼。費用は4000円。フェラーリの整備と聴けば、なにもかも“万”単位の金額となりそうな気がしなくもないが、実際は数千円でおさまるような整備もあるのだ。これがフェラーリの現実である。 ハイビーム&ウォッシャー不良の修理は、ステアリングホイールおよびステアリングスイッチの脱着に2万9000円、配線修理に2万2000円で合計5万1000円。 細かい部分ではリモコンキーバッテリー交換1000円、パンク修理剤2万6700円、ワイパーブレード交換2万3940円、ブレーキフルード交換2万3600円などを含む。 この見積もりとは別にスペアキーの作成も依頼した。わがカリフォルニアはメインキーしかなく、スペアキーがない。万が一、鍵を紛失したら動かせなくなってしまう。そこで、念のためスペアキーを作成しようと思い見積もりを依頼した。 が、高橋工場長が「少々、値が張ります」との言葉通り、金額を見て仰天。まずコードカード発行に8107円、リモートキーの作成に9万4600円、キー登録工賃が2万2000円。総額13万2814円! キー1本にこれほどの金額を払うのは考えてしまう。スペアキーを使う機会はめったにないからだ。振り返れば、約15年のカーライフでスペアキーを使った機会は一度もない。だとしたら、フェラーリでも使う場面はないだろう。リーズナブルな車検整備からはかけ離れた金額だっただけに、見送った。 見積書の最終ページには「今後のメインテナンスに必要な作業」という項目もあった。今すぐ整備する必要はないけれど、今後、避けては通れない作業だ。 ・全スパークプラグ交換 ・全ベルト、テンショナー交換 ・エアクリーナー エレメント交換 ・エアコンフィルター交換 ・エンジンマウント交換 最後のエンジンマウントはすでに劣化のため、微振動が発生しているというが、気が付かなかった。スーパーカーとは多少の音や振動は我慢すべき、いや、楽しむものと認識していたからだ。ということは、その振動すら、わが愛車の魅力となってしまっているのだから不思議だ。フェラーリマジックとも言うべきか。 次回、車検整備の最終結果と費用をリポートする。
文と編集・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)