ASML、半導体市場は「来年もかなりの期間」鈍い回復-CEO
(ブルームバーグ): オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLホールディングのクリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は16日、半導体市場が「2025年に入ってもかなりの間」は遅々とした回復にとどまるとの見方を示した。前日公表した7-9月(第3四半期)決算は市場予想を下回り、半導体関連株全般の急落を招いた。
フーケCEOは投資家との電話会議で、需要の回復が遅いため「顧客が投資に慎重になり、一部は中止された」と説明。人工知能(AI)ブームやエネルギー移行、電動化が引き続き強力な追い風だとCEOは述べたものの、需要の見通しが理由でASMLは来年の業績予想を引き下げた。
フーケ氏は4月にCEOに就任したばかりだが、同社創業以来最も激動に満ちた時代の一つに直面している。15日に7-9月の受注額がアナリスト予想平均の半分にも満たなかったことが明らかになった後、600億ユーロ(約9兆8000億円)を超える時価総額を失った。
ASMLは半導体業界全体の指標と位置づけられているため、低調な決算はAIブームが業界の全体的な需要低迷を解消するには至っていないとの懸念を強めた。アップルのスマートフォンやエヌビディアのAIアクセラレーター向けなどの最先端チップを生産する台湾積体電路製造(TSMC)やサムスン電子を支える製造装置は、ASMLほぼ1社が担う。
フーケ氏は「AIがなかったならば、現在の市場は惨めだっただろう。市場の回復は望まれていたようではないと思う」と述べた。
同氏によると、AI関連のサーバー需要は堅調だが、自動車や携帯端末、コンピューターの需要回復がとりわけ鈍いという。こうした市場に対応し、ASMLは短期的な投資計画を抑制する意向だ。
注文先送り
ロジャー・ダッセン最高財務責任者(CFO)は電話会議で、来年に予定されていた一部の注文は2026年に先送りされたと明らかにした。
ASMLは来年の業績見通しを下方修正し、15日のアムステルダム市場で株価は16%安と、1998年6月12日以来の大幅な下げを記録した。16日も一時5.8%と続落し、欧州で最も時価総額の大きいテクノロジー企業の地位をソフトウエア開発を手がけるドイツのSAPに譲った。ASMLはフーケ氏就任以来、時価総額の4分の1近くを失った。