ファミレスなのにファミレスっぽくない!お客の心を掴む㊙戦略
鎌田が打ち出したのは「時代のニーズに合った真の客目線の徹底」。早速取り組んだのが大胆なメニュー改革だった。 看板商品のそばの質を上げる一方で、「たまにはリッチなメニューを食べたい」という声に応えて、「うなぎひつまぶし(上)と麺」(4620円)など素材にこだわった豪華な御膳や、「いろいろなものを少しずつ食べたい」という女性客の要望に合わせた、「味彩御膳」(1590円)のように小鉢をいくつも付けた華やかなセットなど、一からメニューを見直し、客一人一人の声を反映した料理を作りあげていく。 さらに、これまで高齢者が喜ぶと思い店の半分以上を座敷にしていたが、テーブル席に変更。意外にも高齢者から「足に負担がかからないから椅子の方が楽」と好評だった。 こうした改革の結果、鎌田が社長に就任した2年後には黒字化を達成。その後のコロナも乗り越え快進撃を続けている。 「一生懸命やるだけではダメ。とことんやらないとダメだと思ったので『やるならとことん』だと」(鎌田)
外国人客も大絶賛~老舗の食材で新ビジネス
サガミがファミレスの枠を超える新たな店作りに動いていた。プロジェクトを引っ張るのは入社30年目になるサガミフード・大谷悟だ。 大谷が訪れたのは愛知・岡崎市の約700年続く老舗の味噌蔵「まるや八丁味噌」。2年かけて熟成させた伝統の八丁味噌は、旨みが凝縮した濃厚なコクが特徴だ。 「春夏秋冬を2回以上繰り返して、完全に発酵が終了してから出荷します」(浅井信太郎社長) 桶から出したばかりの味噌を味わった大谷は「もっと塩辛いものかと思ったが、コクがあってチーズに似ているような感じがします」と言う。
別の日、大谷はメニューの試作のため厨房にいた。「京都の赤尾屋さんという老舗店から取り寄せた季節の漬物です」と言うのは約320年の歴史を持つ京都の漬物店の逸品。さらに佐賀で230年以上続く名店の「ざる豆腐」も。集めたのは、日本全国に点在するとびきりの老舗の食材ばかり。これらを使って大谷が目指すのは、2万円超えの超高級コース料理だ。 全国の老舗の食材ばかりを使った高級会席料理店。日本の食文化を支える老舗を守りたいという想いで立ち上げたプロジェクトだという。