ファミレスなのにファミレスっぽくない!お客の心を掴む㊙戦略
ファミレスをアップデート~専門店の味と超個別対応の接客
これまでの常識にとらわれず、今の客のニーズを掴む。ファミレス業界にあって、そんな時代に合わせた「アップデート戦略」で躍進しているチェーンがある。愛知・知立市の「和食麺処サガミ」知立店のお昼時の店内は順番待ちの客で一杯だった。 【動画】サガミの客の半数以上が頼む「そば」人気の秘密は? この時期、特に人気なのが、名古屋名物「味噌煮込みうどん」。チェーン全体で年間166万食を売る人気商品だ。その他にもトンカツをはじめ和食全般が幅広く楽しめる和食ファミレスだ
〇アップデート戦略1~ファミレスなのに専門店レベルの味 それを象徴するのが客の2人に1人が頼むという看板商品の「そば」。「喉越しがいい」「そばが食べたい時はサガミにくる」と客に言わせるおいしさの秘密が、店の入り口にある石臼。全ての店に設置しており、店内で一からそばを挽く挽きたてにこだわっている。 「ゆっくり挽くことで熱を出さないので、香りが残っておいしいおそばになります」(そば担当・福川友美子) 店内で行う生地作りもこだわりが。そばなのに、コシを生み出すために20分以上、足で踏む。この「打ち立て」のそばを一つ一つ、注文が入ってから湯がくのだ。 サガミのそばは「挽きたて」「打ち立て」「湯がきたて」の「3たて製法」で、専門店並みの味にアップデートしているのだ。
そばに合わせる天ぷらも独自に進化させていた。その大きな特徴がエビ天の衣。よく見るとまるで淡い雪のようにフワっとしている。これを生み出すために、衣はエビに直接かけるのではなく、油に投げこむ。こうすることで、飛び跳ねた衣が空気を含みながらエビの上に乗っかるというわけだ。 「油に一回沈んで跳ね返った衣が、エビの上にフワッと乗ると、サクサクの食感になります」(天ぷら担当・植益恵子)
〇アップデート戦略2~熱烈ファンを生む超個別対応の接客 ファミレスといえばマニュアル通りに接客するイメージだが、サガミの接客は、それとは全く違う。 パート従業員・長濱英子が客を席に案内すると、常連客らしく注文は「いつもので」。客が注文したのは「モーニングセット」だが、メニューを覚えているのがすごいのではない。例えばトーストは「マーガリンとジャムを選べるが、この方たちはいつも両方です」。コーヒーは熱々が好みなので、わざわざ温め直す。ドレッシングも「和風とごま。それぞれ好みがあるので」。同じメニューでも、一人一人の好みに合わせてアレンジしている。 こうした個別対応の接客が熱烈なリピーターを生んでいる。 「お客様から言われてやるのではなくて、先にやることを心掛けています」(長濱)