「マイナーチェンジじゃない」アテンザ改良で分かったマツダの哲学
こうして重要情報を独立させたのだから、計器としてのメーターもナビも存在感を落とすべきだということだろう。メーターはほぼ変わっていないが、それはそこまでのコストがかけられないからなのか、アクティブ・ドライビング・ディスプレイが無いモデルのためなのか、聞いておかなかったことに後で気付いた。 他には、パーキングブレーキがレバー式から電動式に変わったこと、シフトレバーの手前にインフォテインメント・システム=マツダ・コネクトのジョグダイヤルが追加され、操作のためにいちいちタッチパネルに触れなくても良くなった。 今回は試乗時間が限られていたため、クルマそのものの検分だけで手いっぱいで、マツダ・コネクトの出来をチェックすることはできなかった。自動ブレーキや周辺監視を統合したi-ACTIVSENSEも同様である。申し訳ない。
「いいですねえ、異論・反論」
さて、ここからが今回の変更の眼目、ドライバーの体に直接影響を与える部分の変更だ。それはステアリングの感触、シートの作り、サスペンションのセッティングの3点だ。 ◎ドライになったステアリング まずステアリングから。表皮の感触がドライになった。実はメーカーによってこのステアリングの感触はかなり個性がある。1980年代から、皮に限らず樹脂であってもマツダのステアリングは感触がウエットだった。が、今回新型のステアリングに触って見て「おや?」と思った。 ただし、比較試乗した旧モデルの方は2万キロほど走り込んでいたので、使いこんで手汗を吸った分の差なのだろうかと思っていたら、主査が言うのである。「ステアリングの皮を変えてます」。 何のためにと質問すると「お客様がショールームで触れた時に、どんな感触だと嬉しいか、そして何年か乗った後にどんな感触になると幸せかを考えました」。 それは結構大事な話ではないのか? と率直に思った。しかし配布された資料には一言も触れられていないのである。「変えるために変えることをやめるには、あそこが変わったここが変わったと言うのをやめようと思っています」。 確かにそれをやると変わった部分を作らなければならなくなる。言っていることは正しいが、色々難しい。第一ジャーナリストに不親切だ。違いを自力で見極める目がないことがバレるではないか。 なんだかこの辺で少しマツダが言う「顧客優先」がおぼろげに解ってきた。つまり変わったことをアピールできるのが大事なのではなく、実際にユーザーが毎日使って喜ぶことが大事なんだと、そういうことなのではないか。