生後10ヶ月…医師「一生歩けないし、笑うこともない」その後25歳になった今。大学講師を目指す彼「自分を諦めない」その強い思いに迫る
言葉で伝えることを諦めたくない
現在大学講師を目指す亮夏さんですが、そのきっかけは学生時代の経験にありました。 「高校生のころに友達を作りたかったのですが、自分の言葉が思うように通じませんでした。その経験が悔しく、当時から自分の言葉で伝えることを諦めたくないと思っていました。そんなとき、大学の授業に行くきっかけをもらい、その際に自分の言葉を学生たちに伝えることが出来ました。その経験が嬉しかったことに加え、学生もコミュニケーションが取れたことをとても喜んでくれ、大学の講師として活動したいと思いました」と振り返ります。 亮夏さんはこれまで様々な挑戦をしてきました。 パラグライダー、京都一人旅、自転車、一人キャンプ、乗馬、ライブなど…。 「乗馬はテレビで見て、やってみたいと思い、パラグライダーは”高いところは怖い”という感情を知りたいと思って挑戦しました。その結果、本当に怖いことが分かりました」と笑顔を見せてくれました。 好奇心旺盛に見える亮夏さんですが、初めからそうではなく、もともと自分でやりたいことはありませんでした。しかし、お母さんから「自分でできる・できないを決めつけないで、やりたいことを見つけていこう、興味をもったものをお母さんに伝えて」と言われます。それが、挑戦を始めていくきっかけとなりました。 そこで「興味があるものを見つけていき、出てきたものには全部チャレンジしていくようにしています」と亮夏さん。 お母さんは「成功したらそれはよしとしているけれど、チャレンジしたことに後悔してほしくないし、失敗してもやるんじゃなかったと思ってほしくないです。もし亮夏が思ったようにことが運ばなかったときに、なんと言葉をかけようかというのも考えてきました。失敗を次の挑戦にどう活かすかを一緒に考えることで、彼の挑戦を後押ししてきました。」と心がけていることを話してくれました。
「僕だから伝えられることがある」
現在亮夏さんの活動としては、ニューロノードなどの練習をSNSを使って発信すること。 そして大学講師として、お母さんと一緒ではなく、1人で登壇することが目標。 亮夏さん的には、そこまではもうちょっとという状況だといいます。そのためにもう少し、自分の言葉を流暢に話せるように練習する必要があると考えています。 さらに10月22日には、関西医科大学でニューロノードを使った初めての講義を持たせてもらうことが決まっているといいます。 現在講義の8割は、まだお母さんがパートナーとして入らなければならない現状。間に入ってスライドを使ったり「車いすの操作とか身体的な麻痺の部分はこうですよ」と学生に示したりしています。 そこで授業を受ける学生の中から現在のお母さんの役割を引き継ぎ、次は自分たちより下の学年に亮夏さんと講義を届ける学生を募り、講義を継続していけるようにすることを目標としています。 今回の講義の最後の時間では、ニューロノードを使って学生とコミュニケーションを取り、亮夏さんがどのように日常生活を送っているのかを知ってもらう交流を行います。 「だから、10月22日は勝負の日なのです」 亮夏さんはSNSで「僕だから伝えられることがある」と発信しています。そして発信を受け取る人に向けて「(自分で)自分を諦めないでくださいと1番伝えたいです」と力強く話してくれました。 今後の目標は、結婚をすること、もっと沢山しゃべることができるようになること。 重度の脳性麻痺で「一生歩けないし、笑うこともない」と言われた亮夏さんですが、車いすを使ってさまざまな場所に出かけ、多くのことに挑戦しています。また、笑顔もたくさん出ていて楽しんでいることが伝わります。障がいがあっても前向きに何でも挑戦していく亮夏さんに心を動かされた人も多いでしょう。 「あなたならできるからそのまま突き進んでほしい」 取材の最後にそう伝えてくれた亮夏さん。 大学講師として1人で登壇する目標に向かって、亮夏さんの挑戦はこれからも続いていきます。
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