「東京駅から12分と立地抜群」「海抜は低め、家賃も低め」…。23区でも屈指の閑散駅・尾久駅は“住むとちょっといい街”だ
建築会社や不動産会社などが毎年発表する「住みたい街ランキング」。トップテンの顔ぶれを眺めると、常連の吉祥寺や恵比寿、新宿、目黒、最近だと北千住や大宮なんかも人気だ。しかし、どれも「まぁそうだろうな」と思えるような街ばかり。 この連載では、住みたい街ランキングには決して登場しないけれど、住み心地は抜群と思われる街をターゲットに定め、そこを実際に歩き、住む人の声と、各種データを集めてリポート。そして、定番の「住みたい街」にはない、「住むと、ちょっといい街」の魅力を掘り起こしていく。 【画像10枚】23区でも屈指の閑散駅・尾久駅は“住むとちょっといい街”だ
今回紹介するのは東京都荒川区「尾久」だ。 ■駅は北区だけど、街は荒川区 JR東日本 東北本線を利用すると、上野の次が「尾久駅」だ。東京のど真ん中と言っていい。しかし、知名度はかなり低い。「尾久」と書いて「おく」と読むのだが、荒川区民ですら知らない人も多い。 JR尾久駅から、隅田川に挟まれた場所に広がるのが、今回ターゲットにしたエリアだ。地図上に赤くマーキングした辺りを歩いた。地名で示すと、東京都荒川区西尾久から東尾久にかけての界隈となる。
レポートに入る前に、尾久の地名と駅名について、若干ややこしい事情があるので、少しだけ解説する。 繰り返すが、尾久は、荒川区の地名だ。しかしJR尾久駅は北区に位置する。駅の北口を出て、明治通りを過ぎるとすぐに北区と荒川区の境界をまたぐことになる。そこから先が地名でいう尾久だ。 さらに、駅名は「尾久駅(おくえき)」だが、地名の方は場合によって「おぐ」と発音されることもある。 【画像10枚】「東京駅から12分と立地抜群」「海抜は低め」…。23区でも屈指の閑散駅・尾久駅は“住むとちょっといい街”だ
駅前で長く飲食店を営んでいる女性に聞くと、「尾久の前か後ろに別の言葉がつくと、途端に”おぐ”に変わるんですよ」とのこと。つまり前に西が付く「西尾久」は「にしおぐ」だ。後ろに「銀座商店街」が付けば「おぐぎんざ商店街」となる。 ■乗降客が極端に少ないJR尾久駅 駅に関して、もう一つだけ解説を加えたい。周辺の主要駅と比べると、尾久駅は乗降客が極端に少ないのだ。 このように比較すると、尾久駅の乗降客数の少なさがわかる。「閑散駅」と表現されることもあるらしい。駅の背後には広大な車両基地(尾久車両センター)が広がっており、街としてのにぎわいはないのだが、正面の北口を出ると、すぐに明治通りが走っており、ファミレスなどもあるが、乗降客が少ないことが示す通り、比較的静かな雰囲気だ。