航空管制官はキャパオーバーに? 増える航空機にどう対策するか
■「上下分離」空域再編で効率化
航空路は空のハイウエーに例えられるが、実際は高高度空域(高度10キロ以上の高高度巡航帯)が、上昇・降下する航空機や空港周辺の混雑などで輻輳(ふくそう)している。 日本の全空域を、高高度空域と、東日本、西日本の2つの低高度空域(上昇、降下、低高度飛行帯)の計3つに分離すれば、処理機数の増加、効率向上が図れ、高高度と洋上空域の一体運用で、上空通過機、国際便の運航効率向上も見込まれる。国土交通省航空局は2025年3月までにこの再編を目指している。 既に、ユーロコントールでは空域の上下分離や統合などの再編が行われ、オランダにあるマーストリヒト高高度管制センターが、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、ドイツ北西部で高高度の管制を行い、処理機数の増加や運航効率の向上を達成している。
◇ 国土交通省航空局は、現段階では大幅な管制官の増員は考えていないようだ。上記のような空域の再編や機械化を中心に対応していく方針だ。機械化については極限まで進んできていて、地上も機上もお互いが視覚でとらえられるところまで来ているのだ。 (※1)…CNS/ATM=ATM:航空交通管理:Air Traffic Management/通信(Commnucation)、航法(Navigation)、監視(Surveillance)
---------------------------------- ■藤石金彌(ふじいし・きんや) 航空ジャーナリスト。音の出る雑誌『月刊朝日ソノラマ』を経て、月刊『安全』『労働衛生』編集長。編集総括:『航空実用事典』(朝日新聞社)、著書『コクピットクライシス』『スカイクライシス』(主婦の友社)、『安全・快適エアラインはこれだ』(朝日新聞出版)、『航空管制「超」入門』(SBクリエイティブ)。元交通政策審議会航空分科会委員