トランプ前米大統領、パンデミック時にプーチン大統領へコロナ検査キットを提供か
米紙ワシントン・ポストの著名なジャーナリスト、ボブ・ウッドワードの間もなく発売される著書『War』に、新型コロナウイルスが猛威をふるっていた2020年に、当時のドナルド・トランプ米大統領がロシアのウラジーミル・プーチン大統領に、不足していたコロナ検査キットを送ったことが書かれていることが明らかになった。受け取ったプーチンはトランプに、自身の政治生命のために秘密にしておくよう促したという。 2020年はコロナ感染者が爆発的に増え、医療品や検査キットが不足していた。ワシントン・ポストはウッドワードの本を引用し、トランプは当時足りていなかった検査キットをプーチンのために送った、と報じている。 受け取ったプーチンは、このやりとりを秘密にしておくようトランプに警告した。プーチンは「このことが明るみに出れば、人々は私ではなくあなたに対して腹を立てるだろうから、誰にも言わない方がいい」と言ったという。 トランプの広報担当者スティーブン・チャンは声明を出してそうしたやりとりを否定し、ウッドワードに対する侮辱の言葉を記すとともに、本を「ゴミ」呼ばわりした。 プーチンは病原菌を嫌うことで有名で、パンデミック中、他国の指導者との会談時に相手と距離を置くために滑稽なほど長いテーブルについている様子が見られた。 ウッドワードの新刊は10月15日に発売される予定で、ジョー・バイデン大統領やトランプ、カマラ・ハリス副大統領、プーチンといった世界の指導者たちの秘密の会話について書かれているとされている。 驚くべきことに、トランプは先月、プーチンの敵であるウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領の隣に立ちながら、プーチンとの「非常に良好」な関係を自慢した。ウッドワードの本には、トランプが大統領執務室を去った後もプーチンと連絡を取り合っていたことが書かれている。ワシントン・ポストが本に書かれていることとして報じたところによると、匿名の側近は、2021年以降にトランプとプーチンが7回も電話で話したと語っている。ニューヨーク・タイムズもウッドワードの新刊について報じ、それによるとトランプはプーチンを公に称賛し、天才と呼んだこともあるという。 トランプとプーチンの関係は大統領選の遊説や集会で注目を集めている。ウクライナとロシアの間で現在も行われている戦争について、トランプはウクライナの勝利を望んでいるとは決して言わず、今度の選挙で勝って大統領に就任する前にウクライナでの戦争を終わらせるという主張を繰り返している。 ハリスは9月の大統領候補者討論会で、トランプが独裁者らに取り入っていると嘲り、トランプが大統領に返り咲けば「プーチンが取って食うだろう」と主張。また、プーチン以外の独裁者とのつながりでもトランプを批判した。
Stephen Pastis