「嫦娥3号」が月の周回軌道に 軟着陸は14日ごろか
■月面への着陸は今月14日ごろ 中国国家国防科技工業局によると、「長征3号B」ロケットで今月2日打ち上げた無人月探査機「嫦娥(じょうが)3号」は6日夕方、月の高度100キロメートルを回る円軌道に入った。今後さらに数日間かけて高度100キロメートル×15キロメートルの楕円軌道に移り、14日ごろに高度15キロメートルから月面の「虹の入り江」(地球から見て左上)に軟着陸する予定だ。成功すれば、旧ソ連、米国に次いで世界3カ国目、旧ソ連の「ルナ24号」(1976年)以来、37年ぶりの月面着陸となる。 ■37年ぶりとなる月面着陸 「嫦娥」というのは、中国の伝説で、月に住む仙女のこと。夫と一緒に地球にやって来た嫦娥が、不老不死の薬を飲んで一人だけ月に戻り、ウサギ(玉兎)と暮らしたとされる。中国は一連の月探査“嫦娥計画”として2007年に「嫦娥1号」、10年に「嫦娥2号」を打ち上げ、今回初の月着陸に挑んだ。嫦娥3号は本体部のランダー(着陸機)と、中に収納した月面ローバー(探査車、愛称「玉兎(ぎょくと)」)で構成される。 着陸計画の詳細は明らかになっていないが、人民日報のウェブ版「人民網」によると、円軌道に入った嫦娥3号は、高度100キロメートルで月を4日間周回し、その後、高度100キロメートル×15キロメートルの楕円軌道に切り替えて、さらに4日間周回しながら目標とする着陸地点の正確な地形探査や測量を行う。とくに近くにクレーターや巨大な岩がないことなどを最終確認するという。 高度15キロメートルからの降下・着陸については、月に大気がないのでパラシュートは使えない。そのため嫦娥3号は逆噴射して減速し、さらに姿勢を制御しながら、斜めの角度で徐々に降下する。その間は、マイクロ波・レーザー距離計を使って月面までの距離や速度を計測し、レーザー3D画像化センサーなどを使って、空中静止中に細かな障害物などの回避も行う。このように減速しながら行う着陸が「軟着陸」(ソフト・ランディング)。嫦娥3号は降下開始から着陸まで12分間の予定だ。