【闘病】馬尾神経腫瘍 「ただの腰痛」の正体が10万人に1人の病気だった
「馬尾神経腫瘍」という疾患を知っているでしょうか? 10万人に1人と言われている珍しい疾患で、話を聞いた河野さん自身もなかなか情報が集められず困ってしまったそうです。この聞き慣れない疾患を患ったことによる経験を聞かせてもらいました。 【イラスト解説】「ポリープと腫瘍の違い」 がん化の可能性も解説 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年6月取材。
背骨の痛みは「単なる痛み」ではなかった
編集部: まず初めに、河野さんが抱えている疾患について教えていただけますか? 河野さん: 馬尾神経腫瘍です。「馬尾」とは、脳から伸びる脊髄が枝分かれした細い神経のことを言います。 背骨の中で、硬膜という膜に覆われて、髄液という水に囲まれています。馬尾神経腫瘍とは、この馬尾の部分に腫瘍ができ、腰痛や下肢(脚)痛などの症状を引き起こす疾患です。 編集部: 病気が判明した経緯について教えてください。 河野さん: 診断、そして手術を受ける5年以上前から体の不調を感じることがありました。体調が悪いときに、左足に痺れが走るような痛みを感じることがありました。最初は近所の整形外科専門の医院を受診し、そこでレントゲンを撮りました。 わずかに脊椎のズレがあるようにも見えたため、その時には「椎間板ヘルニア」と診断されました。そして、腕と足に重りをつけて伸ばす牽引を何度か行い、その直後には症状が改善したような感じもしていました。 しかし、しばらくするとまた痛むようになりました。体調がいいときは、数カ月まったく無自覚の時もあったのですが、痛みを感じる頻度が増え、その痛みも次第に強くなってきて、これはただのヘルニアではないのではないかと考えました。 編集部: また別の病院を受診されたそうですね? 河野さん: はい。まずは近所の総合病院に行き、外科でレントゲンを撮ったのですが異常は見当たりませんでした。 ですが、自覚症状を伝えたところ「これは大きな病院でMRIを撮った方がよい」と言われ、別の病院へ行きました。そこでMRIを撮影し、馬尾神経に腫瘍が見つかり、診断がつきました。 編集部: 診断がついたときの心境について教えてください。 河野さん: 文字通り、「えっ」という感じでした。そして時間の経過とともに、「悪性腫瘍だったらどうしよう」と不安が大きくなりました。 医師からは「恐らく悪性ではないだろうと思われるけれど、こればかりは実際に手術して取り出し、検査してみないとわからない」とも言われていました。結局は、悪性腫瘍ではないことがわかりました。 編集部: どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか? 河野さん: 腫瘍は自然に小さくなることはないため、そのまま様子をみていくか、手術で取るかだと言われました。