【闘病】馬尾神経腫瘍 「ただの腰痛」の正体が10万人に1人の病気だった
長時間同じ姿勢でいることが辛くなり、手術を決断
編集部: 発症後、生活にどのような変化がありましたか? 河野さん: 診断後もしばらくの間は体調がよいときは、普通の生活を送ることができていました。 ただ、次第に腫瘍も大きくなってきたためか、体調がよいときでも軽くうずくような痺れがあり、次第にくしゃみをするだけでも痺れが走るような辛い状態になっていきました。また長時間同じ姿勢で座っていることができなくなりました。 編集部: 中学校の先生をされていたそうですが、授業はどうされていたのでしょうか? 河野さん: 授業や日常生活は、騙しだまし行っていました。処方されていたロキソニン(痛み止め)を飲むことで、多少は痛みが緩和されましたが、痛みが強く辛い日もありました。 編集部: 手術は受けたのですか? 河野さん: そんな日が続いていたので入院、手術は中学校の春休み期間に行うことを決めました。決断のタイミングは、直前の2月頭だったと記憶しています。その頃も、痛まないときはまったく痛まないけれど、気圧が低いときなどにはかなりの痛みが脚に走るような状態でした。 編集部: 現在の体調や生活などの様子について教えてください。 河野さん: 手術後から数年間は、半年~1年ごとに腫瘍の再発がないかMRI撮影を行いました。幸い、再発もなく十年以上が経ち、現在では発症前と同じ日常生活を送っています。
「自分の状況を正しく理解し、判断すること」が不安を取り除く方法
編集部: 疾患に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。 河野さん: 私自身が理科、その中でも生物を学んでいたことが役立って、医師の説明を確実に理解できたことです。また、質問も的確にでき、自分の状態を把握できたことは安心に繋がりました。自分の状態がわからないことこそが、一番辛いことだと思います。 編集部: もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか? 河野さん: たまたまですが、発症と前後して保険の切り替えを行ってしまい、保険金を受け取れず、また、病気になってしまったため新しい保険にも入れないということがありました。その辺りはくれぐれも慎重に確認しながら行うべきだと思います。 編集部: 再発しないために、日常生活で気をつけていることなどはあるのでしょうか? 河野さん: ありません。というのも、何か「これが原因」というのがあって腫瘍ができたわけではないので(なぜ腫瘍ができるのかわかっていないと聞きました)、そうすると特段何か気をつけることもないということだと思います。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 河野さん: 馬尾神経腫瘍は10万人に1人という少ない病気だそうで、最初はなかなか情報が集められず、心配になりました。闘病記などがどこかにあるとよいなと思ったので、今回こういった形で協力させていただきました。 「自分の状況を正しく理解し、判断すること」これが、不安を取りのぞくための方法だと思います。検査をしっかり行い、不明な点は医師に質問し、状況把握をしっかりするとよいと思います。