「日本はUFOのホットスポットだ」アメリカ国防総省がまじめに指摘 日本政府はどう考えている?「想定外」を議論する必要性
ただ、自衛隊の運用の細部に関わるため、具体的に公表していない案件もあるという。その中には公表対象外の航空機や鳥の大群といった「いろいろなもの」がある、と意味深とも取れる答え方をしている。 ▽「中国の偵察気球」は飛来の数年後に発表 AAROが日本はホットスポットだとする一方、防衛省は「公表すべき事案はない」と言う。この点に関する考察は控えようと思う。私が取材する意図は、「政府がうそをついている」といった陰謀論を唱えることではないからだ。 一方で、飛行物体の中には出現から数年後に公表された例もあることは紹介しておきたい。「中国が飛ばしたとみられる気球」だ。 今年2月、防衛省はこんな発表をした。 「2019年11月に鹿児島県、20年6月に宮城県、21年9月に青森県のそれぞれ上空で確認された計3件の飛行物体は、中国が飛行させた無人偵察用気球と強く推定される」 この話は、出現した当時に「謎の球体」としてニュースになったが、出所などに関する政府の発信はなかった。発表されたのは、米国上空に飛来した中国の気球が問題視された後だ。
防衛省は今年4月の衆院安全保障委員会で、覚知した飛行物体などの公表に関し、こう説明している。 「分析の結果、国民に知らせるべき事実が判明した場合には、わが方の情報収集能力などを明らかにしない範囲だが、後に公表を行うこともあり得る」 ▽積極的な情報開示求める声も 安全保障上、公にできない事柄があるのは仕方ないだろう。一方、UAPを巡るアメリカの動きを受け、今後、日本政府も積極的に情報開示するよう求める声もある。 昨年2月以降、国会でUFOを巡る問題を取り上げている維新の浅川義治衆院議員は、UFOなどの出現に関し「情報をオープンにし、民間の知見も動員して科学的に分析するべきだ」と話す。 その理由としてこう述べた。「未知の技術が新たな脅威になる恐れがある。他国の最新技術だった場合、研究内容を把握し、素早く対応できるようにしなければならない」 安全保障上の論点になり得るという点は、ムー編集長の三上さんも同意見だ。「他国の最先端技術を用いた軍事研究を想定する必要がある。ドローンが普及した近年、現実味は増しているのではないか」。アメリカが主体の可能性も考えているという。