サービス横断で社内業務の回答生成--グーグル・クラウド、「Google Agentspace」を解説
グーグル・クラウド・ジャパンは12月17日に説明会を開催し、米Google Cloudが提供を発表した法人向けAIエージェント「Google Agentspace」や、情報整理ツール「NotebookLM」の企業向け強化版「NotebookLM Enterprise」について解説した。 執行役員 テクノロジー部門 兼 事業開発本部の寳野雄太氏は「89%の従業員が6種類以上のデータソースから情報を探索している」という調査結果を引用し、従業員はさまざまなSaaSから情報を収集し、生成AIサービスに読み込ませなければいけないというニーズがあると説明した。 その結果、AIエージェントの乱立によるユーザー体験(UX)の低下や検索結果のサイロ化、統合的なエージェントの構築によるプライバシーやデータ流出に関するリスクなどの課題が発生しているという。 こうした課題に対してAgentspaceは、データの保存場所に関係なく、「Gemini」の高度な推論、「Google」品質の検索機能、社内のデータを統合したエージェントを通して、ユーザーが自社の専門知識を収集することを可能にする。 寳野氏は、Agentspaceのデモンストレーションを実施。プロンプトで「社内で利用可能な保険のプラン」と入力すると、画面左側ではAIエージェントが回答し、右側では外部サービスに格納されている情報源を複数表示した。 同サービスは、プレスリリース(報道機関向け広報発表)の作成にも活用可能。過去のプレスリリースやブランドガイドラインに関する質問を入力すると、回答と共に情報源が表示され、必要な資料をNotebookLMに追加できる。プロンプトで新製品の機能やパートナーシップに言及しながらプレスリリースの作成を依頼すると、ユーザーが利用可能と判断した情報を基に文章を生成した。 そのほか、プレスリリースの内容を音声形式で要約したり、使用する画像の生成や動画への変換を行ったりした。最後に、「動画を社内のSNSチームにメールで送ってほしい」と入力すると、「Gmail」で宛先の設定や文面の生成を自動で行った。 Agentspaceではエンタープライズコネクターにより、「Slack」「Microsoft SharePoint」「Box」など、Google以外の法人向けデータソースから情報を検索することが可能。特定の従業員の間でとどめておきたいデータをほかのメンバーに共有してしまうリスクに対しては、アクセス制御リスト(ACLs)を用いて、ユーザーごとに「見せてよいデータ」を管理する。 加えてGoogle Cloudは、ユーザーがローコード/ノーコードのエージェントフレームワークを用いて、Agentspace内に独自のエージェントを構築する機能も近日中に提供するとしている。ユーザーは12月16日から、Agentspaceへの早期アクセスに登録できる。 NotebookLM Enterpriseは、「NotebookLM Plus」の機能に加え、企業での利用に必要な要素をAgentspace上で提供している。複数の認証に対応し、顧客企業のデータが「Google Cloud Platform」(GCP)の外に出ることはないほか、導入済み企業IDの利用、「Cloud IAM」に基づく厳格な権限管理、Google以外の複数フォーマットへの対応が可能となる。 Google Cloudは、Agentspaceの販売エディションを3種類提供している。スタンドアローンで利用する「NotebookLM Enterprise」、コネクター先のデータを利用できる「Google Agentspace Enterprise」、別のアプリケーションに対するアクションや独自のAIエージェントの構築が可能な「Google Agentspace Enterprise Plus」がある。