見たい「初夢」を自在に見るための「ちょっとした工夫」…食べ過ぎない、イラストを描く、身体の一部を動かす
大切なのは「楽しい」という気分
たとえば、好きなアーティストの年末年始のニュース情報を集めて眠りにつくと、最前列の至近距離でコンサートを楽しめる夢を見やすくなったりする。 ただし、眠る前にそのイメージが膨らむあまり興奮しすぎてしまうと、入眠が阻害されるので気を付けたい。 「縁起の良い夢とされる『一富士二鷹三茄子』を絶対に見たいのなら、それにまつわる楽しいストーリーを考えたほうが良いと思います。富士山を見たとしても、それが噴火して火砕流に巻き込まれる夢だったら楽しくありませんよね。 だから、飛ぶ鷹を眺めながら富士山頂に登って達成感を味わいつつ、美味しい茄子料理を食べるとか具体的に想像するんです」(松田氏) 前出の高島氏もこう語る。 「夢は直近の記憶に引っ張られやすいので、見たい夢の話の展開に近い物語などを読んで、楽しいという気分のまま眠ると、なんとなくそれに近い夢を見やすくなります。元日の夜に見る夢を初夢とするのなら、元日を楽しく過ごすことが良い初夢につながるでしょう」
明晰夢を見られるアプリも登場
冒頭の例に挙げたように、「自分はいま夢を見ている」と自覚できる夢を「明晰夢」と呼び、その後の夢の展開を思い通りにコントロールできる人もいる。 明晰夢を見る人は思考の柔軟性が非常に高く、中には目を覚ますことなく、夢のある地点まで自由にさかのぼり、別のストーリーを築き直して、望む展開に近づけられるケースもある。 明晰夢を見るためには、その内容の詳細を強く意識するのがよいと松田氏は語る。 「見たい夢に近づけるように、今晩見たい夢に関するキーワードと、ストーリーの詳細を書いてみましょう。脳内に浮かぶキーワードとイメージに関連する記憶が出てくる確率を高めるので、イラストを描いてみるのもおすすめです」 米ノースウェスタン大学の研究チームの最新研究では、実験用に開発したスマートフォンアプリを使って明晰夢に導くことに成功した。 実験では、睡眠前にバイオリンの音などの明晰夢に誘導しやすい音を聴くトレーニングを行う。そして、睡眠中の夢を見やすい時間帯になると、枕元のスマホからわずかな音量の誘導音が流れる。この結果、被験者たちは1週間に2回以上も明晰夢を見られるようになったのだ。 夢が自在にコントロールできる「夢のような日」が来るのも、そう遠くないかもしれない。 「週刊現代」2024年12月28・2025年1月4日号より 【つづきを読む】 『正月の「一富士、二鷹、三茄子」。その後続く四、五、六をご存じか?』
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)