元ホンダ技術者・浅木泰昭氏が語るシーズン後半の展望! "優勝請負人"ニューウェイの移籍先、その本命は!?
■マクラーレンの王座獲得のチャンスは今年と来年だけ ――コンスラクターズ選手権でみると、首位のレッドブルとランキング2位のマクラーレンとのポイント差は42点と、接戦になっています。 浅木 マクラーレンは開発が進んでマシンは速くなっていますが、まだ勝ち方を知らない。逆にレッドブルやメルセデスは最速のマシンを持っていませんが、戦略やコース状況に合わせた瞬時の判断などが巧みで、チームとしての勝ち方を熟知しています。そこをマクラーレンがどれぐらい伸ばせるのか。 でも、勝ち方というのは経験を積むと身に付いてくるので、コンストラクターズ・タイトルに関してはマクラーレンが本命という気がします。しかもレッドブルは、マックス・フェルスタッペンがなんとか優勝争いに加わっていますが、セルジオ・ペレスは不調が続いています。一方のマクラーレンは、ランド・ノリスとオスカー・ピアストリという速いドライバーがふたりそろっています。マクラーレンはレッドブルに対して2対1という有利な状況にあります。 それにマクラーレンがコンストラクターズのタイトルを獲るための大きなチャンスは今年と来年しかないと思うので、この後半戦に勝負をかけてくる可能性は高いでしょう。 ――マクラーレンは2026年以降、タイトルを獲得するのは難しいということですか? 浅木 25年まではPUの開発が凍結されており、それがマクラーレンにとってアドバンテージになっていると話しましたが、新しいPUのレギュレーションが導入される26年以降は開発競争がスタートします。そうなると、メルセデスは設計変更の情報などをマクラーレンに渡すのを後回しにして、車体の開発を少しでも遅らせるようにするでしょう。私がメルセデスの人間であれば、そうします。いつまでもカスタマーに勝たれてはたまりませんから(笑)。 おそらくマクラーレンは26年以降、そういう流れになると見据えているはずなので、この後半戦と来シーズンは相当、力を入れてくると思います。もしマクラーレンがメルセデスを上回る成績を残してタイトルを獲得すると、大きな火種になるかもしれません。 ワークスがカスタマーに負けるというのは死活問題です。メルセデスの社内では「カスタマーのマクラーレンに勝たせるために数百億円という大金をかけてPUを開発しているのか」という議論が噴出するかもしれないので、ワークスのメルセデスとカスタマーのマクラーレンの対決には注目しています。