地震2日目。絶え間ない余震と断水が続く自宅でご近所さんが神に見えたありがたい瞬間
能登を襲った未曽有の巨大地震
2024年の元旦に起こったマグニチュード7.6の能登半島の巨大地震。石川県の志賀町(しかまち)は最大震度7、七尾市や珠洲市、穴水町では震度6強を記録した。 【漫画を読む】被災した家を片づけるよりも先に、やるべき重要なこととは 輪島市では大規模な火災も発生した。断水や津波の危険がある中での消火は困難を極めたという。 2024年12月10日の県発表によると、石川県全体の住宅被害は9万6151棟で、このうち6076棟が全壊している。 石川県七尾市在住の漫画家が描くリアル体験コミックエッセイ『令和6年能登半島地震体験記』(まえだ永吉著 / KADOKAWA)から1年前の地震を振り返る。 連載4話目は、地震直後にやるべきこと。 未曽有の巨大地震によって恐怖と不安、そして寒さに震えた一夜が明けた。 地震から2日目のまえだ一家の様子をお伝えする。 正月、まえださんは石川県七尾市に一緒に暮らす60代のご両親と帰省していた30代の弟さんと過ごしていた。が、地震発生後に発表された大津波警報を聞き、高台に避難した。 幸いにも津波はなく、自宅には数時間で戻れたものの、家には多数の地震の爪痕が残っていた。 前話「本棚は倒れ食器は散乱、余震続く自宅を離れ…安全な車中泊に『忘れてはいけない』大事なもの」では、本棚は倒れ、押し入れの戸は外れて出入口をふさぎ、キッチンでは断水のうえ、食器が落ちて料理が台無しになるなど、自宅内の悲惨な状況をくわしくお伝えしている。 また、家族で協力して片づけをする合間も、余震が続き、車中泊を余儀なくされた。 極寒の北陸で車中泊、気持ちも落ち着かないうえに、決して寝心地だっていいわけないだろう。まえださんはほぼ眠れず、一晩に3回もトイレに行ったという。
「湧き水を自由にどうぞ」
が、翌日は朝からみな、俄然と働き始めた。 まえださんのお父さんは、罹災証明のために、自宅や祖父母の家の写真を撮る。 お母さんは、台無しになった料理にくじけることなく、断水の中、備蓄していた水で米を炊いておにぎりを握って、インスタントのみそ汁まで用意してくれた。 朝食後は、お父さんは家周りの応急処置をし、お母さんは祖父母の家の片づけ、まえださんも自室の片づけに追われたという。 そんなとき、お向かいさんから、湧き水を自由にどうぞという申し出があった。飲み水はおろか、トイレの流す回数も節約しながら使っているときに、ありがたいことである。 地震直後で濁っていたため、飲み水にはできなかったが、「月額固定で使い放題」にしているからと、その恩恵をまえだ家にもシェアしてくれたのだった。 そんな上向いた気持ちに水を差すような出来事も起きた。 1月2日の日本中を震撼させた、日本航空機と海上保安庁の衝突事故である。 海上保安庁の飛行機は、救援物資を積んで、羽田空港から被災地へと向かうものだったというニュースは、能登の方々だけでなく、日本全体を重苦しい空気で包んだのだった。