【時間をかけて開発する意味】 BMWアルピナB4 GT リムジンとグランクーペ、個性の違いはどこにある?
アルピナらしい味を作るエンジンとタイヤ
エンジンパワーの印象に関しては「500ps近辺における34ps増し」をサーキットで体感するのは難しい。 パワーカーブの比較データを見せてもらうと、約5000回転で到達する495psまではこれまでと同一のライン。だが新型のGTユニットはそこから上6500回転まで緩やかに上昇し続けて529psに達している。 トルクに関しても5000回転以降の下降の角度が緩やかになっている。ピークを尖らせることなく、いつのまにか差が付いている。いかにもアルピナらしい仕事だと感じた。 「我々はドイツにも拠点があり、BMWやMとも仕事をしています。その経験をもとにアルピナと仕事をするのは理にかなっています」と話すのはピレリでアルピナを担当するドイツ人、ニコ・ケスラーである。 「普通は何社かで供給するので足並みを揃える必要がありますが、(1車種で1社供給の)アルピナの場合はその必要がないので、楽というか仕事がやりやすいですね。あと前後でサイズも違い、完全に構造を変えられる点も仕事をやりやすくしています。今回タイヤの仕様は変えていませんが、性能的には充分狙ったところに達していると認識しています」 アルピナを作る人たちは誰もが、控えめだが自信たっぷりというのも印象的だった。アウトバーンを305km/hの巡航最高速度で余裕を持って突き進みつつ、B3 GTと比べるとフィードバックが若干高められ、走りを堪能できる。それがアルピナが「真のグランツーリスモ」と謳うB4 GTなのである。
試乗車のスペック
価格:1660万円(税込 オプションなし) 全長×全幅×全高:4800×1850×1440mm 巡航最高速度:305km/h 0-100km/h加速:3.5秒 駆動方式:AWD 車両重量:1965kg パワートレイン:直列6気筒2993cc+ビターボ 使用燃料:ガソリン 最高出力:529ps/6250~6500rpm 最大トルク:74.4kg-m/2500~4500rpm ギアボックス:8速オートマティック タイヤサイズ:255/35ZR20(フロント)285/30ZR20(リア)
吉田拓生(執筆) AUTOCAR JAPAN(編集)