小学校の同僚女性教員2人からいじめ「途中から抵抗する気がなくなった」 精神科医が提唱「加害者にあえて優しく」「“のれん”の気持ちで」
職場でのパワハラが社会問題として扱われる昨今。大人のいじめに悩む声は増えており、厚労省によると、2023年度の相談件数は6万125件にも上った。ネットでは「生活がかかっているし、大人のいじめは悪質…」「上司からのいじめは抵抗しづらいよね」「大人なら自分の意思で職場を変えれば?」などの声があがる。 【映像】小学校教員の男性が受けた“職場いじめ” なぜ大人でもいじめから逃げられないのか。『ABEMA Prime』で職場いじめを受けた当事者、専門家と考えた。
■小学校の同僚女性教員2人からいじめ「ただ我慢した」
けーたさんは10年前、20代の時に勤めていた小学校で、40代の女性教員2人(別クラスの担任と副担任)からいじめを受けていたという。具体的には、他の同僚や子どもたち・保護者に悪口を言う、帰り際に仕事を振られる、板書を書き直しされるなど。「毎年誰かをいじめの標的にしていたような方たちで、その年は私がターゲットになった。校長室へ行って被害を相談したが、それが逆効果というか。どう伝わったのかはわからないが、“副担任の悪口を言った”と職員室に広められ、さらにいじめがエスカレートした」と話す。 けーたさんによると、若いのに役職がついていたことや、校長の評価が高かったこと、仕事を終えて帰るのが早かったこと、仕事をのびのびやっていたことが理由だという。副担任に板書を書き直され「私の児童に対する発言の影響力が明らかになくなっていくのを感じた」というが、児童の前で意義を唱えることはせず、職員室などでもやめるよう言うことはできなかったそうだ。 当時の精神状態について、「周りに助けてくれる人がおらず、1人で対峙する状況。できない自分を責めてしまっていた」と明かす。 これに精神科医の樺沢紫苑氏は、「“学習性無力感”という、精神医学の言葉がある。有名な実験で、水槽の中にネズミを入れると、2分ぐらいはもがくが、逃げ道がないとわかると動くのをやめる。そこで助けて、次の日にまた水槽に入れると、最初からプカンと浮いて動かない。いじめに対して、最初は争ったり反抗したりするが、“余計やられてしまう”“これは無理だ”となると、抵抗しなくなってしまう」との見方を示した。 けーたさんも「途中から抵抗する気がなくなった」というが、その後どう対処したのか。「定期的に休みを決めて取ったのが一番大きかった。転職活動をして別の世界に目を向けたこともあるが、教員になって喜んでくれた友人や、働いている同僚、家族のことを思い出すと、辞めることに抵抗があった。“一生続くわけじゃないから”とただ我慢して、相手が異動したタイミングで落ち着いた」と述べる。 なお、この場合に法的責任は問えるのか。アディーレ法律事務所の長井健一弁護士によると、刑事と民事で可能性があるという。「悪口の内容にもよるが、いわゆる侮辱罪がある。民事上になると不法行為。誹謗中傷したことによって精神的損害を与えたとなれば、損害賠償を請求できる」との見解を示した。