「名古屋いいとこだよ、めっちゃ好き」 食堂の名物おかみ、実はガンビア総領事
西アフリカの小国、ガンビア。先日の東京五輪には柔道や陸上に4人の選手を派遣したが、この国を知る日本人がどれだけいるだろうか。そんなガンビアの家庭料理レストランが名古屋にある。日本人の味覚にも合うメニューの数々を味わえるのだが、店のおかみさんが実は、外交官でもあるのだ。(ジャーナリスト:室橋裕和/撮影:菊地健志/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
日本人にも食べやすい、ガンビアの味
「ガンビア料理、時間かかるの。ちょっと待ってねゴメンね」 キッチンで腕を振るいながら、ビントゥ・クジャビ・ジャロさん(52)は声を上げた。
「ガンビアは毎日ライス、日本と一緒。ガーリックとジンジャー、黒コショウをいっぱい使うのが特徴かな。野菜とシーフードもたくさん食べるよ」 手を動かしながらも、達者な日本語でぺらぺらとずっとしゃべっているのである。下町のおばちゃんみたいだな、と思った。 「はいどうぞ」 まず濃厚で赤いジュースが出された。ハイビスカスを煮出したものだ。色鮮やかで、さわやかに甘酸っぱい。それに、白い小石のようなものも添えられる。 「これはバオバブの実なの。ガンビアでは子供のおやつね。キャンディーみたいになめる」 素朴な味わいで、ほのかに甘い。これもジュースにするそうで、どこか乳酸菌飲料のようだ。 ここは日本でただひとつとされる「ガンビア料理レストラン」。西アフリカの小さな国、ガンビアの家庭料理を提供している「ジョロフ・キッチン」だ。名古屋市北部、名鉄犬山線の中小田井駅近くの住宅街という名古屋在住者でもあまり行くことはない立地だが、知る人ぞ知る店なのだ。そして彼女は、実は「在名古屋ガンビア名誉総領事」でもある。 小さなレストランのおかみさんがナゼ領事?と思うが、すぐにテーブルいっぱいにガンビア料理が並べられた。
まず出てきたのは「スープカンジャ」だ。ガンビアの代表的な料理で、たっぷりのオクラとマトンをパームオイルで煮込んだものだ。エビもごろごろ入っている。 「これねハマるよ。ねばねばしたものは健康にいいっていうでしょ。だから私、納豆も好き、めかぶもとろろも好き」