「ハゲ」「短足」ネタはどこまでOK?ノンスタ石田が考えるコンプラの境界線
NONSTYLEは、今のところ指摘されたことはないんですが、けっこう細かくチェックされるのはたしかです。 つまり、テレビで見せているネタはすべて、制作側がOKを出したものということ。だから万が一、視聴者からクレームが入ったとしても、それはOKを出した番組の責任ですとしか言いようがありません。何を電波に乗せるのかを決めるのは制作サイドですから。 一方、劇場はどうかというと、舞台に立っているときの肌感覚として、お客さんたちの間で「ありなしの価値観」はあまり変わっていないように思えます。たとえば障がいのある人を笑うネタは今も昔もウケない。ハゲネタは、ハゲの扱い方やネタ運びが上手ければウケる。 社会的属性、経済力、体型、性別、性自認、性指向、人種などなど、世の中には本当にさまざまな人たちがいます。どのような属性でも幸せな人もいれば、そのことで悩んだり苦しんだりしている人がいることも事実です。そういう人たちを余計に傷つけるようなことがあってはいけない、それは間違いありません。 じゃあ、この文脈で考えるお笑いって何か、芸人って何かっていうと、「なんか知らんけどおもろい凡人が必死こいて生きている姿、その滑稽さを見せるということ」やないかと思うんです。 僕たちは人を笑わせることしかできません。社会問題を考えるうえで必要な啓蒙(けいもう)や教育から一番かけ離れたところで、ふざけたことをやって、せめて笑ってもらう。それがお笑いというものであり、芸人にできるわずかな貢献なんちゃうかなと思います。
石田 明