似て非なるもの、新型ドグマFデビュー|PINARELLO
似て非なるもの、新型ドグマFデビュー|PINARELLO
ピナレロの旗艦、ドグマFのモデルチェンジが発表された。これまでとは違い、車名の変更はなし。見た目も前作に酷似している。どこが変わったのか。自転車ジャーナリストの安井行生がお届けする。
レーシングバイクの雄、ドグマが11代目に
初代ドグマのデビューは2003年。マグネシウム合金のメインフレームにオンダフォーク、カーボンバックという構成だった。2004年のドグマFP、2007年のドグマFPXと熟成を重ね、ロードバイク金属フレーム時代の最終章を飾るモデルとして名を馳せた。 2010年にはカーボンフレームのドグマ60。1に進化。左右非対称設計や高弾性カーボンを取り入れたことでトップクラスの走行性能を誇り、「金属フレームが得意なピナレロ」から、「カーボンフレームも上手いピナレロ」へと転身。2012年にはドグマ2、そのたった1年後にはドグマ65。1へと矢継ぎ早にニューモデルを投入。2014年にはディスクブレーキ版も追加する。 2014年、ドグマはがらりと形状を変え、ドグマF8に。このときから空力性能を強く意識した設計となり、2017年のドグマF10、2019年のドグマF12へと進化を続ける。 F8、F10、F12と1つ飛ばしで数字を進めながらグランツールで勝利を量産してきたエアロ時代のドグマだが、2021年に数字を廃した「ドグマF」を発表。ドグマF12からさらなる軽量化と、空力性能強化、剛性向上を実現しており、ディスクブレーキに加えリムブレーキモデルも用意されていた。 そして、オリンピックイヤーとなる2024年に発表された次世代のドグマは、前作と同じ「ドグマF」を名乗る。モデル名を完全に継承するのはドグマ史上初のことだが、これは現在のピナレロのラインナップが「レーシングバイク=Fシリーズ」、「エンデュランスバイク=Xシリーズ」と整理統合されたことによるものだろう。
どこが変わった?
名前は同じ。そのうえ、見た目も一見すると前作とほぼ同じ。F世代のドグマは形状が似通っているのが特徴だが、第1世代のドグマFと新型、第2世代のドグマFの違いは、今まで以上に小さい。しかし細部を見ると、空力的・構造的に正常進化と言える違いが見て取れる。