似て非なるもの、新型ドグマFデビュー|PINARELLO
ドグマに使われるカーボン素材
まずはフレーム素材。これまでもピナレロは東レの60トンカーボンや65トンカーボン、T1100などの高性能繊維を採用してきたが、新型ドグマFに使われているのは東レのM40Xという最新世代の高弾性繊維だという。炭素繊維の強度(壊れにくさ)と弾性率(変形しにくさ=剛性)は、基本的にはトレードオフの関係にある。素材の特性と製法上の都合によって、炭素繊維は弾性率を上げると強度は下がってしまう。強度を上げると弾性率は低下する。 しかしM40Xは、高い弾性率を有しながら、強度も犠牲になっていないという特性を持つ。もちろんフレーム全部がM40Xで作られているわけではないが、この素材を使うことで、軽量化と高剛性化を同時に実現させられることになる。新型のフレーム重量は第1世代とほぼ同じだというから、性能余剰分を高剛性化に振り分けたのかもしれない。ただし、シートクランプやシートポスト、ベアリング周りなどの軽量化で、フレームセットでは前作比108g軽くなっているという。スラム・レッド完成車(ホイールはプリンストン・ピーク4550)で6。63kgだ。 なお、新型ドグマにリムブレーキ版は設定されず、当面は第1世代ドグマFのリムブレーキモデルを併売する。
コラム形状が「楕円」に変更、ハンドルは専用品に
次に、空力性能のブラッシュアップ。バイク全体の空力性能に大きく影響する専用ハンドル、タロン・ウルトラファスト一体型コックピットは、トレンドであるフレア形状を取り入れつつ、よりエアロな形状に。
楕円形になったフォークコラム
そのハンドルが付くコラムは、第1世代の真円から横方向に広い楕円断面になった。これにより、ブレーキケーブルのルートがコラム脇からコラム前面へと移動、それだけヘッドチューブが薄くなり、空力的に洗練された。そのトップチューブに連なるダウンチューブ上部もスリムになっている。 第1世代ではコラム脇にケーブルを通すため、ヘッドベアリングは上下とも1。5インチだったが、新型はコラムを異形断面にしたことで、上側:1-1/8インチ、下側:1。5インチとなった。 フォークコラムが楕円となったことで、専用ハンドルのコラムクランプ部も楕円に。よって新型ドグマには他社のステムは装着できない。その代わり、ステム長が80~140mmの7種類、ハンドル幅は340(レバー取り付け部)-400mm(ドロップ部)、360-420mm、380-440mm、400-460mmの4種類と、豊富なサイズラインナップを用意している。