600年続く福岡県の八女茶栽培、「八女伝統本玉露」は手間がかかりすぎて生産農家が減少。最も美味しく味わうには「冷ます」のが大事?プロが教える楽しみ方
◆さらなる向上を目指して また、GI登録後も、さらなるブランド力向上を図るため、徹底した品質管理を行っています。 JA全農ふくれん茶取引センターに上場された八女伝統本玉露のうち、GIマークを付けられるのは、最高級で希少価値があると認められた製品だけ。内部規定では、入札でのキログラム単価に基準を設けています。 それほど、GIマーク付きの八女伝統本玉露は、産地全体で責任を持って消費者へと届けられているのです。 さらに、八女伝統本玉露が八女全体のブランド化を牽引する"看板"として先頭に立ったことで、海外を視野に入れた新たな取り組みがすでに始まっており、ブランド力強化のために臨んだGI登録は、次なる挑戦への大きな足掛かりとなっています。
◆ひと手間で極上の風味 ●美味しく淹れる【煎茶】 ●用意するもの 茶葉……人数×2~3g 急須 湯飲み茶碗 お湯……70~90℃程度 さわやかな香りに加えてうま味・甘味・渋味があるのが煎茶の特徴です。お湯の温度は上級煎茶で70℃、中級煎茶で80 ~90℃が適しています。 ●淹れ方 (1)しっかり沸騰させた湯を茶碗8分目まで注ぎ、冷ます(または、湯冷ましで冷ます)。茶葉を急須に入れる(1人分で2~3gが目安) (2)冷ました湯を急須に注ぎ、1分ほど(深蒸し茶の場合は約30秒)おいて、茶が浸出するのを待つ (3)少量ずつ茶碗に注ぐ。数人分を用意するときは、同じ濃さになるように廻し注ぎをする (4)最後の一滴までしっかり注ぎ切る ※急須に湯が残っていると、茶の成分が浸出し、二煎目、三煎目の味が落ちる ※二煎目、三煎目は湯を入れてから15秒ほど待つ
●美味しく淹れる【玉露】 ●用意するもの 茶葉……人数×3~5g 急須 湯冷まし小ぶりの茶碗 お湯……50~60℃程度 玉露がもつ特有のうま味を楽しむには、低温のお湯でじっくりと時間をかけて、テアニン(うま味成分であるアミノ酸の一種)を浸出させるのがポイントです。 ●淹れ方 (1)しっかり沸騰させた湯を、急須または湯冷ましに入れて冷ます。上茶の場合は50℃、並茶の場合は60℃くらいが目安 (2)冷ました湯を玉露用の小ぶりの茶碗に7分目(約20ml)ほど注ぐ。残った湯は捨てる (3)茶葉を急須に入れる。1人分で3~5gが目安 (4)冷ました湯を急須に注ぎ、2~3分おく (5)茶碗に廻し注ぎをして、最後まで注ぎ切る。おいしく味わえる温度は35~40℃くらい ※二煎目は、冷ました湯を入れて30秒ほど待つ ※本稿は、『八女茶――発祥600年』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。 (撮影=延秀隆)
福岡の八女茶 発祥600年祭実行委員会