「こんな殺し方いけない」日本被団協・田中熙巳さん“魂のスピーチ” 「NO MORE 被爆者」パレードで訴えも…「核保有国の世論変わらず」 ノルウェー
世界各国の核弾頭保有「1万2121発」
ここからは、フジテレビ・立石修解説委員室長が解説する。 青井実キャスター: ーーノーベル平和賞の式典が行われました。生々しく当時の状況を語る姿が印象的で、世界に届けたスピーチでしたね。 フジテレビ・立石修解説委員室長: 主催国ノルウェーのメッテ=マリット皇太子妃の感極まった表情が印象的でした。被爆者自身の言葉で実相を伝えた歴史的なノーベルスピーチだったと思います。 青井キャスター: この田中さんの授賞式スピーチを受けて、各国の反応が入ってきています。 小山内鈴奈キャスター: 核を保有する国がどう反応しているのか見ていきます。田中さんのお話にも出てきた「ロシア」では、一部メディアのみが授賞式が行われたことだけを報じています。 続いて中国では、一部メディアで報じられているだけで国営メディアは取り上げてはいません。アメリカのAP通信は、田中さんが語った懸念から「生存者たちは人生の晩年を迎えつつあり、核兵器の使用に対するタブーが薄れつつあるのではないかという不安と格闘している」と引用するなどして紹介しています。 青井キャスター: ーー今回の受賞は、アメリカや世界の核の考え方に影響しそうですか? スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン): 素晴らしい演説で僕も感動しましたけど、残念ながら核保有国内の世論は変わらないと思います。現にロシアは、この間ガイドラインを変えまして、非保有国に対しても核兵器が使えるようにしましたし、北朝鮮はもちろんのこと、中国も核弾頭の数を増やすことを検討しています。これは抑止力のものであって、絶対手放せないという世論の方が強いと思いまして、今回は残念ながら変わらないかなと思います。 小山内キャスター: あらためて、世界各国の核弾頭保有数です。ロシアが5580発、アメリカが5044発、中国が500発、フランスが290発、イギリスが225発、この他にもインドが172発、パキスタンが170発、イスラエルが90発、そして、北朝鮮も50発の核を保有しているとされ、合計で「1万2121発」の核兵器が存在しています。 立石解説委員室長: プーチン氏は、10月には戦略核演習を行い、核使用の恫喝を続けています。今は冷戦以後、核戦争の危機に最も近い時代と言えると思います。田中さんは、プーチン氏は核兵器の恐ろしさについて、「考えたことも理解したこともないのでは」と話しています。抑止力が必要とされる時代ですが、田中さんたちの話を通じて、核の恐ろしさを世界が共有していくことが必要だと思います。 遠藤玲子キャスター: ーー青井さんは、田中さんのスピーチをどうお聞きになりましたか? 青井キャスター: 田中さんは「核兵器の非人道性を感性で受け止めることのできるような、原爆体験の証言の場を各国で開いてください」と言っています。つまり田中さんは、ただ単に核反対を訴えているのではなく、困難な状況にあって、どうすれば廃絶を実現できるか、その道筋をしっかり描いています。 今、被爆者の皆さんの平均年齢は、85歳です。10~20年先を考えると、直接皆さんから話を聞けるのかとも考えます。 92歳の田中さんから私たちに託されたものは何なのか、しっかりと向き合っていかなければなりません。 (「イット!」12月11日放送より)
イット!
【関連記事】
- 【動画はこちら】「こんな殺し方いけない」田中熙巳さん“魂のスピーチ”で核兵器廃絶訴え「被団協」ノーベル平和賞授賞式 “核保有国”の反応は…
- オスロに核兵器廃絶を願う火が灯る 日本被団協ノーベル平和賞受賞 「核兵器をなくすためにどうしたらいいか話し合いを」【長崎発】
- 「運動引き継ぐ“心の被爆者”を…」ノーベル平和賞を授賞した被団協 被爆2世が核廃絶を訴え続ける決意新たに
- 被爆2世の76歳男性「父はまだまだこれからだと」「核兵器廃絶が必要、強く期待」 広島・長崎の被ばく体験を伝え続けた「被団協」にノーベル平和賞
- オスロに行けなかった被爆者もノーベル平和賞の受賞者 授賞式にあわせ、広島で「被爆者の想いを聴く会」や「核兵器廃絶運動」