片道100キロは近所!?「北海道行くよ!」って広すぎてわからん!狂った距離感に洗脳される北海道【漫画の作者に聞く】
最北端の地、北海道・稚内へ、川崎生まれ横浜育ちの都会っ子学生が就職を機に移住! 電子書籍として発売中の「しろまる最北日記 横浜から稚内へ就職したとある会社員の、愛すべき最果て移住生活」は、作者が実体験を元にした“北海道あるある”をお届けする漫画。WEBニュースサイト・ウォーカープラスで連載され反響を呼んだ“移住体験コミック”だ。 【漫画の本編を読む】道外民も洗脳される狂った距離感とは? 本記事では、同書籍から一部抜粋したエピソード「狂った距離感」を取り上げ、漫画に込めた思いなどを聞いてみた。 ■狂った距離感 同じ北海道内にもかかわらず、空の玄関口・新千歳空港から稚内までは車で約6時間もかかってしまう。稀に道外からの観光客が北海道の広さを見誤り、札幌~稚内の所要時間に絶望することがある。 しかし、北海道は交通量や信号が少なく流れがスムーズなため、長時間のドライブでも見た目の距離ほど時間がかからない。「片道100キロは本当に近所なのかも」と、道外から来た人も、徐々に距離感覚が洗脳されていく…。 稚内は「旭川」ナンバーだが、旭川までは車で4時間も離れている。もはや地元ナンバーが地元ではない。ちなみに旭川ナンバーは日本一広い区分で、東海道でいえば、品川ナンバーから名古屋ナンバーまで全部ひとつのエリアにまとめたようなもの。 道外から来る人からの「北海道行くよ」の連絡に困ってしまうことがある。広すぎてわからないので、もっと具体的な地名を教えてほしい、と主人公の白丸あすかは思ったのだった。 ■ケンタッキーに行くために往復160キロ いつ頃から距離の感覚が北海道仕様になったのだろうか。「元をたどると学生時代の知床生活です。私がアルバイトをしていた知床ウトロにはコンビニしかなく、日用品の買い出しのために40キロ離れた斜里や80キロ先の網走へ行っていました。網走のケンタッキー・フライド・チキンに行くために往復160キロ移動するような人たちを見て北海道の生活様式を学んでしまった結果、数十、数百キロの移動をなんとも思わない身体になってしまったのです」 もうひとつ、距離感が狂う背景として、北海道の特殊な道路事情を挙げる。「北海道は信号や交通量が少なく下道でも非常に快適で、時速60キロで走れば、ちゃんと1時間で60キロ進みます。1キロ=1分の感覚が染みついてしまっているので『目的地まであと10キロ』と言われたら『もう着いた』気分になります」 また、「移住最初の年は、北海道の道の駅スタンプラリーを全制覇するほど走り回り、ひと月の食費とガソリン代がほぼイコールだったこともあります。免許をお持ちの方は、ぜひご自身でハンドルを握って北海道の道を走ってみてほしいです。距離感が狂います(笑)」 ■北海道の感覚で都会に戻ってみると… そんな感覚で、首都圏に戻ってみるとどう感じるのだろう。「道路事情が全然違うので、車での移動が億劫になります。道が複雑で渋滞が多く、運転していて生きた心地がしません。駐車場がほとんど有料なところも難点です。運転は好きですが、本州、特に東京都心などではハンドルを握りたくないですね。そのかわり定時性に優れた鉄道網が発達しているので、本州に来たときは鉄道を使います」 さらに、感覚がずれたことにより、「本州へ行くときは目的地がたとえ帰省(関東)だったとしても、『ついでに名古屋』と軽く足を延ばしがちです。道民にとっての旅行は『道内』か『道外』かの二択なので、一度北海道を出てしまえば、持ち前の狂った距離感で数百キロの移動は朝飯前です」 ※距離感は、感覚の個人差や居住地域によって差があります。ここで挙げた内容はあくまで作者の体験を元にした主観になります。