交通事故で大けが経て…作る喜び 本業は理容師の75歳「海のジオラマ」作り ミリ単位のパーツ組み合わせ力作ぞろい
■一ツ柳さんの本業は理容師
緻密でユーモアあふれる作品。どのように制作しているのでしょうか? 7月5日、下諏訪町―。 一ツ柳さんの本業は理容師。80年近く続く理髪店の2代目です。
カット台のすぐ脇には神奈川・真鶴町の「貴船まつり」を題材にした「過去最大」の作品が置かれています。
■制作過程は?
ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん: 「人形の原型を作りたいと思います」 店は仕事場であり、「アトリエ」でもあります。 客がいない合い間に作り方を見せてもらう―。 ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん: 「頭の部分を作って、ちょっと胸の辺を押して、足の辺をカッターで切ります」
使うのは「石粉粘土」。 まず胴体と足を作り、腕を取り付けると人の原型ができあがります。
一晩、乾燥させて固まったら、削って、凹凸をつけていきます。 サンドペーパーで表面を整えたら、アクリル絵の具で色を重ねていきます。ミリ単位の作業です。 ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん: 「明けても暮れても、こんなことばっかりやってたわ(笑)。(作り方を勉強した?)ないない!自己流で」
「料理」も再現。 ステーキにナイフとフォーク。ビールジョッキも。 1円玉が巨大に見えます。
■子どもにばかにされたのを機に
ジオラマ作りに没頭してきた一ツ柳さん。始めたきっかけは、たわいもない会話でした。 40代の頃、息子3人とテレビでジオラマ制作の様子を見ていたときのこと。 ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん: 「『こんな簡単なこと、お父さんすぐできるよ』って言ったら、子どもたちにばかにされました。親のメンツにかけてもやらなきゃいけないってことで」
こちらが、「メンツをかけた」最初の作品「日本の海」。 実際に釣った小さな魚の剥製も使っています。 ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん: 「楽しかったです。やっぱ物作りってことは、床屋さんなもんで、手の感覚は良かったと思いますよ」
■「神様が与えてくれた」ジオラマ
以降、次々と難しいテーマに挑んできましたが、熱中したのには理由がありました。 実は、始める前、交通事故で大けがをして2年半、入院生活を送っていたのです。 ジオラマ制作者・一ツ柳外吏春さん: 「これでダイビングもできないし、沢登りもできないし、苦痛で悩んでいた時があったので、(ジオラマ制作は)神様が与えてくれたものだと思いますよ」