なんと「死者3500人」…首都直下地震が「日本危機」である「本当の理由」
直接的な経済被害は21兆円以上
仮設住宅へ移り住んだタクシー運転手の浜田幸男(仮名)は、“新拠点”での生活に適応しつつあった。 「阪神・淡路大震災を経験し、もう地震は嫌だと思って東京に来たけど、まさか2度も被害に遭うことになるとは思わなかったな」。ポツリと漏れる本音に妻・幸子も同意する。 東京都が想定した建物・インフラ損壊といった直接的な経済被害は約21兆5640億円だ。 ただ、物流停滞や生産活動の停止などの間接的な被害に加え、物価も高騰。1本100円のミネラルウォーターは100円玉を2枚投じなければ購入できなくなった。円安が急速に進行し、輸入品の価格も跳ね上がる。 大地震の首都襲来は「日本危機」につながる。老後生活のために浜田がコツコツと貯めてきたお金は実質目減りしていった。 「もう一度、ゼロからやり直さないとな……」。何とも言えない表情で口を真一文字に結んだ浜田に、幸子はそっと肩を寄せた。 つづく「『まさか死んでないよな…』ある日突然、日本人を襲う大災害『最悪のシミュレーション』」では、日本でかなりの確率で起こり得る「恐怖の大連動」の全容を具体的なケース・シミュレーションで描き出している。
宮地 美陽子(東京都知事政務担当特別秘書)