【厚生年金】平均年収500万円で40年間働いてきた会社員が受け取れる年金額は月額いくら?
12月の年金支給日を終え、年度内の支給も残り1回となりました。次回の支給は2025年2月14日の予定です。 ◆【グラフ】厚生年金保険、月額いくらもらってる?月額階級ごとの受給者数 会社員は厚生年金に加入し、自営業や専業主婦よりも多くの年金を受け取れます。厚生年金は給与や加入期間によって受給額が決まるため、人によって受給額に差が出やすいのが特徴です。 もし生涯の平均年収が500万円だった場合、年金額はいくらになるのでしょうか。この記事では、平均年収が500万円の会社員が40年間働いた場合の厚生年金受給額を試算します。 また、年金の平均受給額や老後生活の収支についても解説します。 ※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
厚生年金の平均受給額はいくら?
厚生年金の平均受給額は、以下のとおりです。 ・男子:16万3875円 ・女子:10万4878円 ・男女計:14万3973円 平均受給額は14万3973円です。男性は定年まで働く人もいるため、月額16~19万円あたりの分布が多くなっています。 一方、女性は結婚や出産を機に退職する人もおり、加入期間が減ってしまいます。そのため、分布は8~11万円あたりが多くなっています。 では、平均年収が500万円の人が40年間働いた場合、年金額はいくらになるのでしょうか。次章で解説します。
平均年収500万円・勤続40年の人の年金受給月額はいくら?
平均年収500万円・勤続40年の人を例に、年金の受給月額を試算します。各種条件は以下のとおりです。 ・大学卒業後の2003年4月に22歳で入社、以後62歳になるまで働く。(休職・転職なし) ・平均年収は20代が350万円、30代が450万円、40代が550万円、50代が650万円、60代が350万円。 ・平均標準報酬額は、各年代ごと(20歳代・30歳代・40歳代・50歳代・60歳代)に算出する。 ・賞与はないものとする。 厚生年金の大部分を占めるのは「報酬比例部分」と呼ばれます。報酬比例部分の計算式は、以下のとおりです。 報酬比例部分=A+B ・A(2003年3月までの加入期間):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間月数 ・B(2003年4月以降の加入期間):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間月数 今回は2003年4月に入社という条件のもと試算するため、Bの式のみを利用して計算していきます。 また、この試算では平均標準報酬額を各年代で算出していきます。平均標準報酬月額を求めるには、報酬月額を32区分に分けた標準報酬を用います。たとえば、報酬月額35万円であれば、標準報酬月額は22等級の36万円です。 では、実際に年金受給月額を試算していきましょう。はじめに、各年代での平均標準報酬額を求めます。 この試算では賞与がないものとしているため、標準報酬月額がそのまま平均標準報酬額となります。それぞれの年代の平均標準報酬額は、以下のとおりです。 ・22~29歳:(350万円×8年)÷96ヶ月=29万1667円≒標準報酬月額30万円平均標準報酬額=30万円 ・30~39歳:(450万円×10年)÷120ヶ月=37万5000円≒標準報酬月額38万円平均標準報酬額=38万円 ・40~49歳:(550万円×10年)÷120ヶ月=45万8333円≒標準報酬月額47万円平均標準報酬額=47万円 ・50~59歳:(650万円×10年)÷120ヶ月=54万1667円≒標準報酬月額53万円平均標準報酬額=53万円 ・60・61歳:(350万円×2年)÷24ヶ月=29万1667円≒標準報酬月額30万円平均標準報酬額=30万円 では、平均標準報酬額を式に当てはめて、報酬比例部分を計算していきます。結果は以下のとおりです。 ・22~29歳:30万円×5.481/1000×96ヶ月=15万7853円 ・30~39歳:38万円×5.481/1000×120ヶ月=24万9934円 ・40~49歳:47万円×5.481/1000×120ヶ月=30万9128円 ・50~59歳:53万円×5.481/1000×120ヶ月=34万8592円 ・60・61歳:30万円×5.481/1000×24ヶ月=3万9463円 老齢厚生年金(基礎年金除く部分)の年間受給額は、上記の報酬比例部分の合計です。合計金額は110万4970円であり、月額換算すると9万2081円となります。 会社員は厚生年金に加えて、基礎年金も受給します。今年度の基礎年金の満額は6万8000円ですから、合計は以下のとおりです。 ・9万2081円+6万8000円=16万81円 よって、生涯平均年収500万円の人のおおよその年金受給月額は、16万81円となります。 年収500万円の人の年金受給額は、前述した全体の年金平均受給額である14万3973円を上回っています。では、この金額で生活にゆとりが持てるのか、次章で確かめていきましょう。