「成人脊柱変形症」の入院期間はどれくらい? 適応条件や手術後の生活も医師が解説!
腰曲がりなどの症状が表れる「成人脊柱変形症」に悩む高齢者が増えています。しかし、近年は医療技術が進化し、安全性の高い手術も可能になり、多くの人が治癒を目指せるようになりました。今回は、成人脊柱変形症の手術前と手術後の生活は一体どのように変わるのかを、「品川志匠会病院」の光山先生に解説していただきました。 【イラスト解説】40代以上は必見! 知らないと怖い“膝が痛む原因” [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
成人脊柱変形症の手術は、どのようにしておこなわれるのか?
編集部: 成人脊柱変形症は手術で治せると聞きました。 光山先生: そうですね。近年では病態の解明が進んでいますし、医療技術も進化したことにより、以前と比べて体に負担が少なく、安全な方法で治療できるようになりました。特に高齢者に多い腰曲がりも、手術によって大きな改善を見込むことができます。 編集部: 成人脊柱変形症について、もう少し詳しく教えてください。 光山先生: 成人脊柱変形症は、加齢に伴って発症することが多く、背骨(脊柱)が大きく曲がってしまう病態です。高齢者に多い腰曲がりは、加齢による椎間板や椎体の変性や骨粗しょう症を原因とした圧迫骨折により起きることが多く、腰が丸く曲がってしまった状態になります。 編集部: 手術では、その骨を真っすぐにするのですか? 光山先生: 正確に言うと真っすぐではなく、自然な弯曲に近づけます。人間の背骨は少ないエネルギーで直立姿勢ができるよう、S字カーブを描いています。そのため、手術では生理的な腰の前弯を獲得することを目指すのです。 編集部: 具体的に、どのようにして手術するのですか? 光山先生: 成人脊柱変形症の手術には様々な術式があり、変形の状態によって術式を選択します。背骨を構成する椎体の間にある椎間板にケージを挿入する「後方椎体間固定術」を複数おこない、背骨に後方からスクリュー(ボルト)を入れます。そして、ロッドと呼ばれる金属の棒でつなげる「矯正固定術」をおこないます。ただし、変形が強い場合には、脊椎骨の一部を削って矯正する「骨切り術」もおこないます。 編集部: ほかにも術式があるのでしょうか? 光山先生: 側方から皮膚を切開して椎間板に大きいケージを挿入する「前方椎体間固定術」もあります。従来の後方からの手術と比べて、出血量が少なく手術時間も短く低侵襲な方法です。しかし、変形の程度や形状によっては適応にならない場合があります。