投資としての経済ニュース 最強の情報ポートフォリオはどう作る?
さまざまな観点から、ネットで経済ニュースを読むよりも、新聞のほうがわかりやすく、しかも効率よく情報を入手できるため、多くのエリートに選ばれていて、経済初心者こそ、新聞を読むべきだと説明をしてきました。しかし、ネットには新聞などの紙のメディアにはない素晴らしい特長も兼ね備えていることから、それをうまく活用しない手はありません。 まずは紙メディアとネットのそれぞれの特長を理解して、経済ニュースを読むための「ポートフォリオ」を考えてみましょう。「新聞+ネット」の活用で経済ニュースを効率的よく、より深く読むための技術を報道イノベーション研究所の松林薫さんが解説します。
経済記事を読むのは「消費」か?「投資」か?
皆さんが経済記事を読む目的は何でしょうか。 単なる暇つぶし、という人は少ないでしょう。暇を持て余しているだけなら、ゲームをしたり、スポーツニュースを読んだりする方が楽しいのではないでしょうか。あえて経済記事を読もうとしている人は、おそらくビジネスや資産運用に役立てたいといった別の理由があるはずです。 これは、「消費」ではなく「投資」として記事を読もうとしていることを意味します。 レストランで食事をしたり、新しいゲーム機を買ったりするのは消費です。「今」何かを楽しんだり便益を得たりしようとする行為だからです。これに対し、「将来」何かの便益を受けることを目的にした行動が投資です。例えば、家を建てれば何十年にもわたって雨風を避けることができます。株式などへの投資も、「今」お金を使うのではなく、「将来」増やして受け取るために、お金を回す行動です。 記事を読むという行為も、「消費」と「投資」に分けることができます。GDP(国内総生産)など経済統計上の分類とは異なりますが、その場の暇つぶしとして読めばそれは記事を消費していることになるでしょう。しかし、貴重な時間やお金を投じて、将来何かに生きると考えて記事を読むのであればそれは投資と言っていいでしょう。つまり、読む目的によって記事は消費の対象にも投資の対象にもなり得るのです。 もちろん、どちらが良くてどちらが悪いというわけではありません。ただ、この連載で説明してきたのは、投資としての記事の読み方でした。連載の最後にあたり、あらためて投資として記事を読む方法について考えてみたいと思います。