投資としての経済ニュース 最強の情報ポートフォリオはどう作る?
ニュースも投資と同じ ポートフォリオが大切
資産運用で重要なのは、現金や株式、外貨など投資対象のポートフォリオ(組み合わせ)です。投資は不確実な未来に向けてお金を投じることになるので、一種類の資産に絞るのはリスクが大きすぎるのです。 ニュースを読むときもこれは同じです。「ポータルサイトだけ」「テレビだけ」「日経新聞だけ」といった読み方は、情報が偏る恐れがあるうえ、分析力を効率的に高めるという目的にも合っていません。様々な媒体の強みと弱みを理解し、それらが互いに補い合うように組み合わせて読むべきなのです。 「ネットの経済ニュースはなぜわかりにくいの?初心者こそ新聞を読むべき理由」で述べたように、経済ニュースを体系的に分析する力をつけるには「紙の新聞」を読むのが近道です。ポータルサイトで読むよりお金や手間はかかりますが、経済知識を効率よく身につけることができます。しかし、これにネット情報を組み合わせれば、より理解を深めることができます。
紙のメディアとネット、それぞれの特長を理解して情報を読み解く
例えば紙のメディアは一覧性には優れており、見出しを拾い読みするなどのテクニックを使えばネットより素早く、足元の経済の全体像を把握することができます(「情報のプロが経済ニュース初心者に、紙の“新聞”をすすめる3つの理由」参照)。しかし一方で、情報の速さについてはネットの方に軍配が上がります。今では新聞社もニュースが発生すると、すぐに自社サイトでニュースを速報します。紙の新聞に掲載するのは、半日から1日遅れになってしまうからです。言い換えると、リアルタイムで経済の動きを知るにはネット情報の活用が欠かせません。 同じように、長い記事を掲載するのはネットの方が有利です。紙媒体には字数制限があるので、ニュースが多い日などは、詳しい解説を書くわけにはいきません。後日まとめて解説するにしても、面積には限りがあるのでどうしても絞り込まざるを得ません。 この点、ネットはいくらでも長く記事を書くことができます。もちろん長すぎれば読まれないので限界がないわけではないのですが、新聞に比べれば字数制限の縛りはきわめて緩いと言っていいでしょう。THE PAGEのこの連載も、新聞ではとても書くことができない分量です。字数制限の縛りがほとんどないので、新聞だと省略せざるを得ない基本的な説明まで丁寧に書けるのです。 最近では、合併や企業不祥事など注目される記者会見があると、そこでのやり取りを全て書き起こしてネットに掲載することもあります。かつては、会見の一問一答は、重要な部分に絞って紙面に載せるのが普通でした。しかしネットでは、一部始終を文字や動画としてアップできます。 こうした媒体ごとの強みと弱みをお互いが補うよう組み合わせて使うことで、ニュースはより深く読むことができるのです。