ドコモと連携、共創力で宇宙ビジネスの“革命”へ インターステラが描く宇宙輸送・通信の未来
「ロケット×人工衛星」 垂直統合型ビジネスの強みとは
――国内初のロケット開発と人工衛星開発を手掛ける垂直統合のビジネスモデルは、どんなメリットがありますか? 稲川: ロケットと人工衛星の垂直統合(バリューチェーンの異なる段階を自社で一貫して手掛けるビジネスモデル)は本当に大事です。宇宙に物を運ぶというサービスは打ち上げ頻度や行き先、搭載方法などの面で、あまり自由度がありません。打ち上げの頻度の点では、世界中で多くのロケットが打ち上がっているのかと言うと、米スペースXの「ファルコン9」以外は、年間に数回、多くても10回程度しか打ち上がっていないので、大規模に宇宙で何かをしようと思った時に、そこがボトルネックになってしまうということは非常に問題になってきます。 輸送先も、かなり重要で、宇宙では、軌道傾斜角とか高度とか、三次元空間的な要素で行き先が決まります。(輸送において)お客さんが一番取れそうな軌道は比較的便数が出ていて、それ以外はそれほど便数が出ていない。大規模な宇宙空間の利活用において、この「行き先がフレキシブルに選べない」という課題があります。 ロケットと人工衛星の搭載の方法で言えば、ロケット側は、インタフェース(規格)が合致する方法しか認めないこと、人工衛星側は、1つのロケットだけに頼りたくないから、他のロケットも選べるように、ある程度共通するインタフェースに合わせることがあります。 スペースXの通信衛星「Starlink」はロケットとの深いインテグレーション(統合・連携)ができているから、ロケットに多くの衛星を搭載することができます。また、ロケットだけやっていると人工衛星の利活用という点で、自社において輸送ニーズを作り出せないのでなかなか量産できず、高コストになります。これがロケットと人工衛星が自社で垂直統合できるようになってくると、お互いの無駄がなくなり、量産ができるようになり、相乗効果や競争力を生み出せます。