急きょ成立したTikTok禁止法、米中対立激化の契機か-中国の報復必至
(ブルームバーグ): ジアンナ・クリスティンさんは4年前、大学のデジタルメディアの授業で、中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」に毎日投稿するよう教授から指導されたことをきっかけに、ソーシャルメディアインフルエンサーとしてのキャリアをスタートさせた。
以来、彼女はこのアプリで270万人のファンを集め、ニューヨークのアパートでの隣人との気まずい出会いやクラブ帰りの深夜に食べる最高のスナック菓子などあらゆる話題を「iPhone」に向かって語り、6桁の年収を得ている。
しかし最近、他のTikTokインフルエンサーと同様、クリスティンさんはインスタグラムやスナップチャット、ユーチューブといった他のプラットフォームにも頻繁に投稿するようになっている。
もともと、こうした取り組みは2020年に当時のトランプ大統領がTikTokを禁止するとの見通しを示したことで始まっていた。そして、最近数週間で大きな動きがあった。中国の親会社、字節跳動(バイトダンス)がTikTokの米事業を売却しない限り、9カ月以内に米国のアプリストアからTikTokを削除するという法律が突然成立した。
クリスティンさんは多くのTikTokユーザーと同じように、この法律は米国におけるTikTokの終わりの始まりだと考えている。「みんな怒っている。私たちはこのコミュニティーを愛している」と述べ、収入を失いたくないと訴えた。
絶大な人気を誇るこのアプリの禁止は何年もの間、困難だと思われてきた。テクノロジー各社に厳しい規制を課そうとするほとんどの試みを押しとどめてきた効果的なロビー活動と議会の機能不全がその背景だ。
だが意外にも、ワシントンの立法プロセスを動かす勢力が急に協力し、事実上のTikTok禁止条項はウクライナとイスラエル、台湾への巨額支援を承認する緊急法案の一部として議会を通過。そして4月24日、バイデン大統領がこれに署名した。