素晴らしいスタジアムとともに熱狂を 大久保嘉人さんが願うJリーグの活性化 長崎、広島に最高の環境が完成
大久保嘉人コラム「一路邁進」⑪ 11月に入り、Jリーグも大詰めを迎えました。各カテゴリーの優勝争いや昇格、降格争いに一喜一憂するサポーターの皆さんもたくさんいると思います。J1では、サガン鳥栖のJ2降格が決定してしまいましたね…。九州で長くJ1を守ってきたクラブだけに寂しさが募ります。 先日は、10月に長崎市に開業したばかりの「ピーススタジアムbySoftBank」を訪問しました。高校時代(国見高)を過ごした長崎に素晴らしいスタジアムができたことにわくわくしました。ホテルやショッピングを含めた複合施設「長崎スタジアムシティ」も、周辺のにぎわいをもたらしてくれるはずです。ワイヤロープについた滑車に乗ってスタジアムの上空を横断するジップラインも体験することができました。なかなか味わえない経験ができて、最高の気分でしたね。 ピッチに一番近い観客席で観戦した方は、選手が目の前でプレーしているような感覚になるでしょう。試合中に選手たちが話している声もしっかり聞こえると思いますよ。ピッチに立てばどうしてもスイッチが入るので、激しい言葉が出てしまうこともあります。僕が選手の立場だったら、気をつけてしゃべらないといけないかもしれませんね…。 長崎はJ1昇格を目指して、J2の厳しいリーグ戦を戦っています。こんな素晴らしいスタジアムとともにJ1に挑むことができれば、クラブにとっても大きな喜びでしょう。今年は、広島市内にも新スタジアム「エディオンピースウイング広島」が完成しました。広島でもピッチと客席の近さを感じることができました。お客さんにとっては、どちらのスタジアムも臨場感を味わえるはずです。 僕が若い頃にJリーグでプレーしていた当時と比較すると、最近はJリーグをテレビで気軽に見られる機会が減っています。日本代表の国際Aマッチでさえも、地上波で見られない試合があるというのは残念なことです。だからこそ、広島や長崎だけでなく、たくさんの方にスタジアムまで足を運んでいただき、迫力あるプレーを間近で見てほしいんです。選手にとっても満員のサポーターという最高の環境でプレーすることが大きな刺激になるし、力を発揮することができます。 これからサッカー選手を目指している子どもたちに「Jリーグでプレーしたい」と思ってもらうには、やっぱり素晴らしいプレーを見せていくことが大事です。今季の残り試合は少なくなりましたが、まだまだ熱い戦いが期待できます。Jリーグからみんなが知っているスター選手、子どもたちがあこがれるヒーローがどんどん誕生してもらいたいですね。(サッカー元日本代表)
西日本新聞社