カトパン夫の2代目社長は令和の“買収王”? 食品スーパー「ロピア」の強みと盲点
先月23日、著名パティシエの鎧塚俊彦氏(59)が創業した洋菓子店「トシ・ヨロイヅカ」運営の「サンセリーテ」買収を発表したのが、食品スーパー「ロピア」を運営するOICグループ(川崎市)。 カトパンの仕事復帰はのんびりモード…“あげまん”パワーで夫のスーパーは年商2000億円→3400億円に急成長 東京都心部在住者には馴染みが薄いが、グループ売上高は2024年2月期が4126億円で、13年2月期の501億円から8倍超に。特徴は「オーケー」(横浜市)同様、特売期間を設けず一年中低価格を実施しているEDLP(エブリデーロープライス)だが、常連客から聞かれるのが「安いだけでなく、楽しい」という声だ。 「企画から製造、販売まで自社で手掛ける食のSPA(製造小売り)化していて、手ごろなのにボリュームがある総菜や弁当のほか、パンや調味料などのPB商品も品質が高く特徴的です。買い付けや値付けなど現場に権限を委譲している点が、ドン・キホーテと類似しています」(消費経済アナリスト・渡辺広明氏) ■キャッシュレス化を望む声 今最も勢いのある食品スーパーの成長の源泉がM&Aで、22年にはスーパー、ホームセンター運営の上場企業「スーパーバリュー」(上尾市)を子会社化。今年に入って「イトーヨーカ堂」が閉鎖を発表した北海道、青森、岩手などの計7店舗の事業を譲受。さらに、ラーメン業態の「ソラノイロ」もグループ入りするなど、ここ数年でスーパーに限らず食品製造や外食などの企業を積極的に取り込んでいる。 「元フジテレビアナ加藤綾子さんの夫である2代目社長が牽引し、31年度のグループ売上高2兆円を目標に掲げています。買収した会社にある程度自由度を持たせて、親会社の過度な介入で起こりやすいハレーションを回避しつつ、ロピア式を導入するところがうまい。ビジネススクールでMBAを取得しているグループ役員も少なくないようで、その成果が出ています」(小売業界関係者) ただ、業容拡大する中で懸念点もあるとのこと。 「EDLPが簡素化しがちなポップなどの販促に凝っていたり、売り場作りでも現場の負担が大きく、よほど向上心のある人でないとついていけないのでは」(前出の小売業界関係者) 前出の渡辺氏もこう話す。 「原則現金主義が安さの秘訣の一つですが、ガソリンを消費して買い出しに来る層が少なくない中、ポイントを貯めたいなどの理由やその不便さからキャッシュレス化を望む声も少なくありません」 成長著しい食品スーパーに、さまざまな点で注目が集まっている。