韓国旅客機事故、フライトデータレコーダー主要部品失う-調査遅れも
(ブルームバーグ): 韓国南西部の務安国際空港で乗客・乗員181人のうち179人が死亡したチェジュ(済州)航空機の事故を巡り、原因究明の手掛かりとなり得る装置で重要な部品が欠けていることが分かった。当局が明らかにしたもので、今回の事故を巡る調査が遅れる可能性もある。
高度や対気速度などを記録するフライトデータレコーダー(FDR)は、務安空港で29日午前に胴体着陸して滑走路の壁に激突し、炎上したチェジュ航空機の残骸から韓国当局が回収した2つの「ブラックボックス」のうちの一つ。FDRはデータ記憶ユニットと電力貯蔵ユニットをつなぐコネクターを失っていたと、運輸当局の高官が語った。
民間航空当局のチュ・ジョンワン氏は31日の会見で、「専門家がレコーダー内のデータを復元する方法を継続的に探っている」と説明。「可能な限り早期に」この問題の解決に取り組むと述べたが、どのくらいの時間を要するのかは明らかにしなかった。
一方、当局は無線やパイロットの音声、エンジン音を記録したコックピットボイスレコーダーと呼ばれる別の証拠を確保。チュ氏は2つの装置が米航空当局と737-800機の製造元である米ボーイングの関係者で構成される合同調査グループによって31日から調べられると語った。
事故前の空港管制塔とパイロットの交信から、バードストライクが事故につながった可能性があると考えられる根拠はある。パイロットが緊急事態を知らせるメーデーを発信する2分前に、管制塔がバードストライクに関して警告を発していた。それから間もなく、チェジュ航空機は胴体着陸して滑走路の端の壁に激突し、炎上した。
韓国当局は、管制塔に当時勤務していた職員2人を聴取したが、詳しい内容は明らかにしなかった。また、旅客機が地上に接近した際に着陸装置が作動しなかった理由や、「ローカライザー」と呼ばれる航空機の着陸を誘導する設備が事故と関連しているかどうかについても調べている。