カラオケで新しい遊び発見/執筆:井原奈津子
今年の秋、ちょっと変わった遊びをしました。ひとりカラオケで自分の歌声をCDに録音したのです。 井原奈津子さんの1ヶ月限定寄稿コラム『TOWN TALK』を読む。
わたくし事ですが、9月末のある日、とてもいい出来事があり(骨折のリハビリが急に終わった)、ニヤニヤしてしまうほど嬉しく、「いますぐパ~ッと打ち上がりたい!」と思ったのです。 それで「うーん、昼間だからお酒飲むのもなんだし…そうだ、ひとりカラオケをしよう!」と思いつきました。
目に入ったカラオケ屋に入り、さらに思いついたことには、噂で聞いて少し興味があった「録音」をしてみようかと。まじで? やっちゃう? 聞くと「無料で出来ます」とのこと。えーっ無料? すごい! あとで、無料なのは録音専用の部屋代のことで、CD-ROM代が別途660円かかるとわかったのですが、充分安い。 いざ入店。まずは練習。歌ってみたかった曲、昔よく歌ってた曲、好きな曲などを歌ってみるが、どれも下手すぎる。誰かに聞かせる予定はないとはいえ、録音するとなると「全然ダメ」。急いで成長しなくてはならない。 しかし、痰がつまった、声が枯れた、英語の発音間違えた、感情入れすぎたで大騒ぎ。1時間延長、また延長と、結局4時間も歌いましたが、最後は時間切れ、「えいや、仕方ない!」と、納得のいかないテイクで録音。あーあ。
しかしながら、思いつきと好奇心からの歌の録音、やってみたら、あれまー、けっこう楽しかった。非日常ゆえの新鮮さ。適当に歌うだけでは得られない緊張感があり、また、「歌手ってすごいなぁ」と心から感心することができ、自分の歌声のダメさを考えることは学びになりました。 ちなみに録音方法ですが、歌った履歴から録音するものを3曲まで選び、CD-ROMにダビングします。待つこと数分。 かかった金額は、 ・飲み物代(1杯) 495円 ・CD-ROM代 660円 ・部屋代(平日昼間・4時間) 1,056円 合計 2,211円。 4時間歌いまくり、3曲入りCD込みで2,211円。安くないですか? これは新たな遊びを発見しました。 誰かとデュエットしたり、友達と交換日記ならぬ「交換CD」したり、タイムカプセル的に長年聞かないでおいてもいいかもしれない。可能性∞。 また今度やってみようと思う。
プロフィール
井原奈津子 いはら・なつこ|1973年、神奈川県生まれ。手書き文字愛好家として、習字教室の運営や手書き文字の紹介に関わる。著書に『美しい日本のくせ字』(2017年・パイ インターナショナル)、『たくさんのふしぎ 字はうつくしい』(2022年・福音館書店)。 text & illustration: Natsuko Ihara, edit: Nozomi Hasegawa
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